第11話 妹系エルフとムフフ
「カーライル様」
「なんだ、コイル」
久しぶりに老ヴァンパイアのコイルが俺に話しかけてきた。
コイルは前に、ユーフェンが真実の泉へ行ったまま戻って来ない、と教えてくれたヤツだ。
「先日、コラプト様から連絡がありまして……」
「コラプト? リッチのコラプトか」
「そうでございます」
コラプトは氷の神殿にいるリッチだ。
不死系の魔物の王のような存在で、ヴァンパイアのコイルはコラプトの支配下にあるといってもいい。
氷の神殿は北の大地にある神殿で、コラプトはそこで不死系の魔物の研究をしている。
だが、俺が氷の神殿に行くことは滅多にない。
行く理由がないし、あまり行きたい場所ではないからだ。
「それで、コラプトがどうした?」
「はい、究極の即死魔法を編み出したから、カーライル様に伝授したいと」
「究極の即死魔法?」
「ええ、私も詳しいことは聞いていないのですが、氷の神殿まで来ていただければ、習得することができると。おそらく、魔法の契約をするところが神殿内にあるのだと思います」
「なるほど、それは面白そうだな」
究極の即死魔法と聞いて、俺の心はゾクゾクした。
魔界の超エリートである俺に相応しい魔法のように思えた。
俺はこの魔法を絶対に習得したいと思った。
「わかった。それじゃ、氷の神殿に行ってみよう」
「左様でございますか、コラプト様に伝えておきます」
「ああ、頼んだ」
俺はすぐに氷の神殿に行くことにした。
究極の即死魔法をすぐにでも習得したいのだ。
「ユート!」
そして、得意の移動魔法ユートで氷の神殿へ向かった。
……はずだった。
ユートで高速移動している最中、魔物の魔力を感じ、俺は移動を止めた。
「きゃああああああ!」
エルフの女が人間に追われている状況が、俺の目に入ってきた。
「ぐへへっ、待てよ、美人なねーちゃん。俺と一緒に遊ぼうぜ。ぐへへっ」
「いやーーーーーーー」
どう見ても山賊にしか見えない人間の男が、気持ち悪い言葉を吐きながら、エルフを追い回していた。
エルフは見た目が人間に近いから、たまに人間と間違われて、こういう目に会うことがある。
「いいじゃねーか、ちょっとぐらいよ」
「嫌です!」
「おいおい、つれないな。グヘヘッ」
これは魔界を守る超エリートとしては、放ってはおけまい。
それに、あのエルフ、かなりの美人だ。
俺はまず、人間の男にステイルを使った。
◇◇◇◇◇◇◇
ゲスナー 男
L V:3
H P:25
M P:1
攻撃力:18
防御力:12
魔 力:2
精 神:3
敏 捷:7
スキル:悪口
◇◇◇◇◇◇◇
思った通り、ただの雑魚だった。
多分、デコピン1発で即死するレベルの雑魚だ。
「おい、やめろ! その女から離れろ!」
「なんだてめぇ」
「貴様と話している時間はない」
俺は掌で軽く風を起こし、その男に放った。
「ほぎゃあああああああああああああーーーーーー」
男はどこか遠くへすっ飛んでいった。
「大丈夫か、エルフの女」
「はい」
「名前は? お前の名前は?」
「ナイーダと申します」
ナイーダか、いい名前だ。
俺はナイーダにステイルを使った。
◇◇◇◇◇◇◇
ナイーダ 女
L V:13
H P:500
M P:600
攻撃力:140
防御力:100
魔 力:270
精 神:220
敏 捷:260
スキル:補助魔法
B:89
W:52
H:82
◇◇◇◇◇◇◇
ナイーダはスレンダーな体形だった。
体全体が華奢で、高くか細い声で話す。
守ってあげたくなる気を起させる、何とも魅力的な女だった。
「カーライル様、ありがとうございます」
「俺を知っているのか?」
「もちろんです。魔界でカーライル様を知らない者はおりません」
まぁ、当然といえば、当然だ。
魔界の超エリートの俺を知らないヤツがいるとすれば、そいつはもぐりに違いない。
「私、ずっとカーライル様に憧れていたんです。だから、こうして助けていただいて、とっても嬉しいです」
「そうか、ハハハハ」
「カーライル様はどうしてここへ?」
「氷の神殿に行こうとしていたら、お前の悲鳴が聞こえてな」
「そうでしたか」
ナイーダを氷の神殿に連れていくわけにはいかない。
不死系の魔物ばかりの神殿に、この可憐なナイーダを連れていったら、怖がって泣きだしてしまうかもしれない。
女を泣かせないのが、俺のジャスティスだ。
「ナイーダ、一旦、俺と一緒に魔王城へ戻ろう」
「えっ、カーライル様は氷の神殿に行かれるのでしょう」
「ああ、だが一度、お前を連れて城に戻ることにした。俺の魔法で一瞬で戻れるから、心配するな」
「カーライル様ってすごい。何でもできるのですね」
ナイーダは俺と会って少ししか経っていないのに、積極的におしゃべるをする。
ユーフェンとロクサーヌとはまた違った感じで、一緒にいて楽しい。
「では、戻るぞ。高速で移動するから、しっかりと俺につかまっていろよ」
「はい」
ナイーダは抱きつくように、俺の後ろから手を回した。
ナイーダの小ぶりな胸が俺の背中に当たって、何とも言えないいい気分にさせられた。
「ユート!」
俺たちは一瞬で城に戻った。
「では、俺はまた氷の神殿に行くとするか」
「カーライル様、行かないでください。これからお部屋に行ってもいいですか?」
「これからか……、わかった」
「嬉しい。今日助けていただいたお礼をしますわ」
ナイーダは嬉しそうに俺の部屋に来た。
無邪気なナイーダの顔を見ていると、心が安らぐ。
「カーライル様……」
ナイーダは着ているものを脱ぎ捨て、俺の隣に座った。
「おお、ナイーダ。美しい」
「嬉しい。今日はたくさんお礼をさせてください」
「ああ、全部受け止めてやろう」
こうして、二人の時間が始まった。
ナイーダの愛は深く、俺の想像を遥かに超えていた。
結局、朝まで二人で愛を確かめ合うことになった。
親ガチャで魔王の息子になったら勇者を無双してモテモテになれました カレーねずみ @curry_rat
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