第4話 サキュバス覚醒、俺歓喜

 俺はユーフェンと真実の泉に戻った。


「さあ、ユーフェン、目的を果たすんだ。本当の自分を知りたいんだろ」

「カーライル様、私はすごく不安です。もし、本当の自分が……」

「大丈夫だ。俺がここで見ているよ」


 俺の言葉に安心したのか、ユーフェンは落ち着きを取り戻した。

 そして、泉の前に立ち、水面に顔を近づけた。

 整った綺麗なユーフェンの顔が水面に写った。


「ああぁ……」

「どうした、ユーフェン!」


 ユーフェンの体は輝きだした。


「カーライル様、私……」

「ユーフェン、俺がここにいる。大丈夫だ!」


 ユーフェンは輝きながら、少しずつ水面に取り込まれていった。


「おい、マイネイ! これはどういうことだ! 何が起きている!」

「これは、ユーフェンが本当の自分に生まれ変わろうとしているのです」

「何! 生まれ変わる!」


 ユーフェンは泉の中に完全に取り込まれた。

 ユーフェンを取り込んだ泉は、何事もなかったように静かになった。


「マイネイ! ユーフェンに何かあったら、タダじゃすまさんぞ!」

「大丈夫です。ユーフェンは泉の中でより完全な存在になるのです」


 俺はマイネイの言っていることの意味がよくわからなかった。

 完全とはどういうことなのだろう?

 より強力な魔力を手にするということなのか。

 それとも、何か別の能力が強化されるのか。

 全く想像できなかった。


「!」


 泉の中央が光り出した。

 ユーフェンを輝かせた光と同じもののように思えた。


「おお、成功です」

「何! 本当か?」


 ユーフェンはゆっくりと水面から顔を出した。

 体は光っていて、何がどう変わったのかわからなかったが、良い変化が起きているということが、俺には直感でわかった。

 ユーフェンはそのままゆっくりと俺の前に立った。


「カーライル様……」


 ユーフェンが俺の名前を呼んだ。

 俺はユーフェンが無事に戻ったことに安心した。


「カーライル様……、私、綺麗?」


 俺はユーフェンをまじまじと見た。

 ユーフェンは俺が知っているユーフェンよりも魅力的になっていた。


 豊かだった胸はより豊かになり、服がはち切れそうなほど自己主張をするようになった。

 それでいて、クビレの曲線は健在で、プロポーションにはさらに磨きがかかっているようだった。

 肌はより瑞々しくなり、体全体から優しいオーラのようなものを感じた。


 今まで二人きりで濃密な時間を過ごしてきた思い出が色褪せてしまうほど、ユーフェンは魅力的になってしまったのだ。


「カーライル様……、私、綺麗になった?」

「ああ、今までのユーフェンよりも確実に綺麗になった」

「よかった……。私、心配だったの。カーライル様ってモテるから」


 俺はユーフェンの気持ちを受け止めたいと思った。

 ユーフェンがそこまで俺のことを想っていることを初めて知ったからだ。

 俺のためにゾンビに追われてまで、真実の泉に来るなんて……。


 そして、こんなに綺麗になるなんて……。


「ユーフェン、わかった」

「カーライル様」


 よし、すぐに魔王城に戻ろう。

 そして、ユーフェンの想いを受け止めよう。


「ユーフェン、城へ戻るぞ」

「はい、カーライル様」


 俺はユーフェンを抱き上げ、ユートの魔法を唱えた。

 ユーフェンが落ちないように、いつもより少し速度を落として、城へ戻った。


「カーライル様、ありがとうございます」

「ああ、本当に良かった」

「後で、部屋に行きますから」


 ユーフェンは少し照れたように言った。

 頬を赤らめ、優しい目で俺を見つめてくる。


「ああ、今日はもうやることがないからな」

「はい、たくさんお相手してくださいね」


 俺が部屋に戻って、しばらくした後、ユーフェンは来た。

 俺たちは今までで1番濃密な時間を朝まで過ごした。

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