210話 誤魔化しの策

……やりすぎちゃったかな?


俺が放った箇所には、大きな穴が開いてしまっていた。


そこには空からでも、魔石が散乱しているのがわかる。


あれだけあったら……領地開拓が捗るかも? 全部貰ったりできないかな?


「これ、どうするんです? 誤魔化しようがないかと。あんな大きな音がして、こんな穴まで出来て」


「キュイー!」


「あはは……いや! 本番はここからさ!」


元々、これで終わらせる気はなかった。

ロイス兄さんのお祝いのためにも、住民達に不安を与えないためにも……上手くごまかさないとね!

いやいや、今日が晴れてて良かったよ。


「ですが、早くしないと騒ぎを聞きつけた方々が来てしまいますよ。流石に、何事もなかったとは無理があるかと」


「うん、わかってる。大丈夫大丈夫、ちゃんと考えてあるから。えっと、お祝いといえば……太陽の位置を確認して、王都には降らないように……こうかな?」


両手を前にかざして、王都の向こうの雲に向かって水魔法を解き放つ!

すると、お天気雨のような状態になる。

これで、最低条件は満たしたはず。

次に風魔法を空に向けて放つ。


「よし! 風魔法で雲を移動できた!」


「マルス様、一体何を……」


「キュイー!」


「ルリ? どうしたのです? ……あっ、後ろに大きな虹が」


そう、俺がやったのは人工的な虹の作成だ。

暑すぎず寒すぎず、晴れている日であれば霧吹きなどで子供でもできる。

虹は雨が降った後の雨粒に、太陽の光が反射して生まれるとか。

俺はそれを風魔法と水魔法を使い、大掛かりにやったってわけだ。


「ふふふ、どうかな?」


「綺麗ですね……空から見ると、目の前にあるみたいで」


「キュイキュイ!」


その時……俺は虹より、リンの綺麗な横顔に見惚れてしまった。

良く良く考えたら、ドレス姿だし……なんか、カップルで眺めてる気分になる。

……いや、今のリンは婚約者だったから良いのか。

なんか、未だにしっくりこないんだけどね。


「と、とにかく! これで誤魔化せたかな!?」


「誤魔化せたかはわからないですが、見惚れることは間違いでしょう。後は、一刻も早く戻って説明をすることです。その間に兵士達に指示をして、魔石や穴を修復してもらうと良いかと」


「よし! それで行こう! ルリ! 急いで兄さんの元へ!」


「キュイーン!」


「きゃぁ!?」


「ふぉぉぉお!?」


背中にいるリンが抱きつき、その豊満なお胸様が背中にダイレクトアタック!


ふむふむ、ルリに乗ってデートでもすればムフフチャンスがあるのか。


……今度、シルクと一緒に乗ってみようっと。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る