201話 マルス、ようやく自覚する
……どれくらい経っただろう。
俺はただぼけーっとして、何故か床で体育座りをしていた。
「……リンが俺を好き? いつから?」
「あれー? ご主人様だけですかぁ?」
「師匠〜、どうして床で座ってるのです?」
「あっ、二人共……ちょっと衝撃を受けてね」
すると、ラビとシロが俺を挟んで座る。
そして二人が顔を見合わせ、シロが俺に視線を向けた。
「師匠、もしかしてリンさんですか?」
「えっ? ど、どうしてわかるの?」
「ということは、ようやく言ったのかな?」
「そうかもです! はぅぅ……ドキドキします」
この様子を見るに、どうやら二人はわかっているらしい。
こうなったら、二人に相談に乗ってもらおうかな。
「リンにね、好きって言われてさ」
「「やっぱり!!」」
「や、やっぱり? 二人は知ってたの?」
「そりゃ、知ってますよ!」
「わたしも知ってますぅ〜! というより、シロちゃん……知らないのご主人様様くらいなんじゃ」
「うん、僕もそう思う」
……なに!? 俺以外みんな知ってるの!?
あまりの衝撃に、すぐに言葉が出てこない。
「……ほんとに? ライル兄さんやライラ姉さんも?」
「多分ですけど……バーバラにいるみんなは知ってると思います」
「えへへ。レオさんとかベアさんとかと、いつになったら気づくんだろうねって話してました」
「オーマイガー……最近出会ったみんなまで知ってるとか」
「それで、どうするんですか?」
どうするか……確かに答えは出さないといけないよね。
それが、どんな形であれ。
「あ、あの! リンさんは、本当にご主人様が好きで……いつも、わたし達に話してくれるんです。懐かしそうに、出会った頃の話とか」
「そうですよ! どれだけ師匠に救われたとか、あの人がいなければ今の私はいないって……本当に嬉しそうに言うんです」
「そっか、そうなんだね。俺のいないところで、リンがそんなことを……」
そんなのは俺のセリフだ。
リンがいなければ、当時の俺は独りぼっちだった。
あの時の寂しさを埋めてくれたのは、間違くなくリンだったから。
「だから……!」
「ご主人様!」
「うん、わかってる。大丈夫、リンを悲しませることはしないから」
正直言って、リンを女性として好きかと言われると困る部分もある。
でも、大事な人だし可愛いし綺麗だなって思ってる……多分、好きなんだと思う。
ただ、ちょっと理解が追いつかないと言うか……そんな感じだ。
それでも……リンにそばにいて欲しいって気持ちは嘘じゃない。
だったら俺は、それを正直に伝えるべきだよね。
そう決めた俺は、まずはあの二人に話すために部屋を出るのだった。
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