貧乏ゆすり

 だからさあ、その貧乏ゆすりやめなよって言ってんじゃん。聞いてる?

 なんでって、そりゃみっともないし、てか視界の端でちらちら動かれるとマジでウザいんだよね。は? 勝手でしょって? はーそうですか。じゃあもうあんたの勉強みるのやめるから。もう二度と声掛けないで。

 え? クセだからしょうがないって? いや、クセならむしろ治せるでしょ。発作とかの場合もあるみたいだけどさ、あんたの場合ちがうじゃん。勉強? したに決まってんでしょ、こんな豆知識、あんたがいなかったらいらないっつーの!

 てか、ほんとにどうしたの? 昔はさ、そんなことしなかったじゃん? いや、気のせいじゃないって。あたしがどんだけあんたを見てきたか……なんでもない。なんでもないってば!

 とにかく、そのクセはぜえったい治した方がいい! あんたが最近クラスで浮いてるのも、このまえ告白したあの子に振られたのも、たぶんっていうか絶対それが原因だよ! え? 脳の働き? 神経の抑制が外れるって、そうなの? ……でも、意識してたら止まるんでしょ? っていうか、それこそ今さらって感じじゃん。てかさ、ほんとは原因、分かってるんじゃないの? あ、分かってる顔だ。吐け! 吐きやがれ!

 ……マジで言ってんの? 健康にいい? え、それ医者に言われたの? はー……そう。で、でもさ、別に貧乏ゆすりじゃなくったって、あんたのその関節は昔からだし、リハビリとか他にもあるじゃん? ……医療費? 通えなくなった? これぞほんとにって、うまいこと言った感出すのやめろ。はー……まじか。分かった、決めたわ。え? 医学部? 前から行きたかっただけだっつーの!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る