第27話 スライムジェネラル、爆誕
来た! この土壇場でレベルアップ!!
さっきのゴブリンを倒したのがよかったらしい。逆転のチャンスがあるとしたらここしかない!!
――
アルクス・セイラント 17歳 男
レベル20
スキル
<スライム>
『スライムテイマー』……レベル4のスライムを発生させることができる。最大20匹。
『スライムメーカー』……スライムにクラスチェンジを施すことができる。
・鑑定スライム……スキル<鑑定>を持ったスライム。同時に1匹までクラスチェンジ可能。
・収納スライム……スキル<収納>を持ったスライム。同時に1匹までクラスチェンジ可能。
・鉄壁スライム……スキル<鉄壁>を持ったスライム。同時に1匹までクラスチェンジ可能。
・スライムジェネラル……スライムの能力を引き出すことができるスライム。同時に1体までクラスチェンジ可能。
――
例のごとく『スライムメーカー』に新しいスライムの種類が追加されている。
でも、今までとは何かが違う。○○スライムという名前ではないのはもちろんだが、具体的なスキルの名前が書いていない。
大丈夫なのか!? これはかなり賭けな気がするが、何もしないままだと死ぬ!
「やってみるしかない! 『スライムメーカー』でスライムをスライムジェネラルにクラスチェンジさせる!」
――
承認しました。スライムジェネラルにクラスチェンジします。
――
一匹のスライムが白い光に包まれて、スライムがクラスチェンジしていく。今回はどんなスライムになるんだ?
光が消えてそこに立っていたのは――
「スライムジェネラル、ただいま参上いたしました! アルクス様ごめいれいを!」」
一人の小さな女の子だった。
「「幼女が出てきた……」」
「幼女って言わないでください! 私は立派な『ジェネラル』なんですから!!」
幼女は諸手を上げて怒り始めた。意志の疎通はできるらしい。
水色の髪をおさげにした幼女。見た目的に年齢は10歳くらいだろうか、なぜかぶかぶかの服を着ていて、袖に関してはもはや手が見えていない。
「状況を説明してほしいんだけど、君がスライムジェネラルなの?」
「はい! 何を隠そう私がスライムジェネラルですっ!!」
嘘くせえ……。
「いろいろツッコミたいところはあるんだけど、今はかなりピンチなんだ! なんとかなるか!?」
「はい! さっきから状況はよく見ていましたから! ここは私の本気をお見せしましょう!」
すると、スライムジェネラルはピョンピョンと必死にジャンプをし始めた。
「みんなー!! ファイトー!! 負けないでー!!」
これは……応援だろうか。さっきまでの危機的な状況が吹き飛んでしまいそうなほどシュールだ。
こんなので本当に状況がよくなるのか? と思っていたその時。
「キュキュキュキューーー!!」
スライムたちが一斉に騒ぎ始めた。そして、体の周りにうっすらと白い光のようなオーラを纏い始める!
「私の力は、一時的にスライムのレベルを2上げることができるんです! そして、能力を持っているスライムはその効果もパワーアップします!」
ジェネラルから告げられる衝撃の事実。スライムたちは血がたぎったようにして、ダンジョンのモンスターたちに飛び掛かった!
「ウゲエエエエエ!?」
いきなり強くなったスライムたちに、モンスターたちは驚きを隠せない。イノシシのような威力のタックルを食らい、壁に激突した。
「ヒ、ヒエエエエエッ!!」
ローブの魔法使いモンスターが火球を放った。トカゲと激闘をしているスライムの方へ飛んでいく!
「キュキュッ!」
その時、鉄壁スライムが前に出た! 鳴き声を上げると、火球の対象になっているスライムの周りに半透明のバリアが張られた!
いける。スライムたちはすごいペースでアウトブレークのモンスターたちを押している!
「ライゼ! 俺たちも加勢するぞ!」
「わ、わかった!!」
俺は剣を構え、ライゼは魔法陣を展開し、モンスターに立ち向かった。
さっきの苦戦が嘘みたいに、モンスターは次々と倒れて行った。5分もしないうちに、アウトブレークのモンスターたちはすっかりいなくなってしまった。
「時間切れでーす! みんな、お疲れ様でしたー!」
幼女が手を叩くと、スライムたちはようやく落ち着きを取り戻した。効果が切れたのだろう。
「助かったよ、えーと、スライムジェネラル?」
「大したことはあります! 一応、効果は今のところ5分みたいですが、アルクス様のレベルが上がれば長くなると思います!」
それと、とジェネラルは付け加える。
「私に名前を付けてもらえないでしょうか? その……ジェネラルだとなんだか怖いので……」
なるほど、要するにかわいい名前を付けろと言うことか。
「そうねえ、背が小さいから『まめつぶちゃん』とかどうかしら?」
「なんでお前が勝手に名付け親になってるんだよ。しかもネーミングセンスが壊滅的なんですけど」
そうだなあ、スライムジェネラルの応援のおかげでスライムたちの能力が強化されたんだよな。
だとしたら、快活な感じが伝わる名前がいいな。応援……チア―……。
「チア、なんてどうかな?」
「わかりました! 私の名前はチアです!」
チアは嬉しそうな表情で自分の名前を繰り返す。
「では、チアはここで失礼します! また何かあったら呼んでください!」
そう言って、光とともに消えていった。
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