【書籍化決定】最速進化のスライム無双 追放された俺の外れスキル<スライム>は超効率的にレベルアップするチートだったので、100倍速で鍛えて世界最強に成り上がる。【WEB版】
第22話 ツンツン少女、追放されました。【SIDE:ライゼ】
第22話 ツンツン少女、追放されました。【SIDE:ライゼ】
アルクスが私を助けてから、一晩が明けた。
クエストのためにダンに召集をかけられた私の前には、腫れぼったい顔をしたダンの姿があった。
「ダン様~! そのお顔はどうなされたんですか~!?」
「……なんでもない。ただ階段で転んだだけだ」
いつものようにおべっかを使うパーティメンバーの女に、不機嫌な態度を示す。回復魔法を使ってもあまりよくならなかったのだろう。
「……さて。今日は前回のクエストの反省会を行う」
「は?」
思わず私の声が漏れた。今日はクエストがあるというから来たのに、話が違うじゃない。
「お前のせいだぞライゼ。昨日やるはずだった会議をバックレたのはお前だ」
面倒くさい。というのも、ダンがこれから何を言うかはすぐにわかったからだ。
「単刀直入に結論を言おう。今回のクエストの失敗は、全てライゼのせいだ」
……やっぱり。私の予想通りだ。
幻想の森エリアでのマウンテンゴブリン討伐クエスト。対象モンスターのレベルこそ大して高くはないものの、何匹も倒すとなれば時間が必要。それこそ森の中で一泊や二泊は野営するくらいには。
私を含めた
理由は、夜中にダンたちが眠るテントをモンスターが襲ったからだ。
「テントにモンスターが来たのは、お前が監視を適当にやっていたからだろ!? つまり失敗は全部お前のせいってことじゃないか!」
「冗談じゃない! ふざけないで! そんなことできるわけないじゃない!」
「は?」
「だから、全方位を監視して、モンスターが来たらすぐに駆けつけて倒すなんて無理なことなのよ! 自分が何人もいるわけじゃないんだから!」
ダンの言っていることはめちゃくちゃだ。全方位を監視して、モンスターを一匹も通すな? そんなのは物理的に不可能なこと。
そもそも、モンスターにテントを襲わせないためには、テントからある程度の距離が必要。テントの手前でモンスターを見つけても、数秒で襲われてしまうからだ。
だから、私はテントから100メートルほど離れた位置の木に登って高いところからモンスターがいないかを見張っていた。もちろん手は抜いていない。
夜の森で、高いところから、小さなモンスターを一体も見逃すことなく監視をする。そんなことは絶対にできない。
「何言ってるんだお前? じゃあアルクスはどうしてそれができたって言うんだ?」
「それは、彼に監視に特化したスキルがあったからじゃない? 私には無理。そもそも、私は戦闘職としてパーティに入ったはず」
「なるほど、<スライム>のことか……」
私の説明を聞いて、ダンは妙に納得したようにつぶやく。しばらく黙った後、こう言い放った。
「いいわ、お前もうクビだ。出てけ」
「はあ!?」
思わず呆気に取られてしまった。正気を疑う発言だ。
「理由を聞こうかしら。さすがにその判断は納得できないわ」
「どうもこうもねえよ。お前をパーティから外して、あのスライム野郎を呼び戻す」
なるほど、あくまで私は使い捨てというわけね。
「だってそうだろ? お前は監視役ができない。女のくせに愛想もない。おまけに俺に口答えしてくる。マジでいらねー」
「私はあなたの人形じゃない! どうして全ての人があなたにとって役に立つかどうかを基準に動いてると思ってるの?」
「お前の都合がどうとか関係ねえよ。パーティリーダーは俺で、その俺が不要だと考えたら不要だ。お前こそ監視もできない無能の分際でベラベラ喋るんじゃねえよ」
この男はもう駄目だ。言動や思考回路のすべてが理解できない。
どうしてこんな奴が人の上に立って威張っているんだろう。自分が何かをなしたわけでもないのに。ただ家柄がいいという理由だけで。
「……アルクスの奴、昨日は何か卑怯な手を使ったんだと思ってたが、あれは違うな。今までは弱いフリをしていて、俺を油断させるつもりだったのか。ふざけたやつだが……まあいい、利用してやるか」
ダンはブツブツと独り言をつぶやくと、まだいたのかとばかりに私のことを睨みつけてきた。
「早く消えろよ高飛車女。もう用はねえから失せろ」
この男の態度には本当に失望する。
……いや、そもそも私がこんなクズに期待していたのがよくなかったのかもしれない。
家族も、他の連中も、貴族というのは他人から何を与えてもらうか、何をさせるかしか考えていない。
ダンはそんな貴族の特徴をこれでもかというほど体現している男だった。
よく考えれば、私もダンに期待をしすぎてしまった。そういう意味では彼と私は同じなのかもしれない。
しばらくはソロでやっていこう。強くなるという目的は、それでも達成することができる。
私は
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