第18話 収納も簡単です。
おおっ! いきなりレベルが2も上がったぞ! やっぱり強いモンスターを倒すとレベルが上がりやすいんだな。
レベル17ともなると、冒険者の中でも中の上くらいにはなってくるんじゃないだろうか。もっとも、俺の場合は魔法や剣術が使えないからそこまでの強さはないけど。
――
アルクス・セイラント 17歳 男
レベル17
スキル
<スライム>
『スライムテイマー』……レベル4のスライムを発生させることができる。最大20匹。
『スライムメーカー』……スライムにクラスチェンジを施すことができる。
・鑑定スライム……スキル<鑑定>を持ったスライム。同時に1匹までクラスチェンジ可能。
・収納スライム……スキル<収納>を持ったスライム。同時に1匹までクラスチェンジ可能。
――
変わった箇所は二つ。まずは『スライムテイマー』で出せるスライムの数が20匹になった。
最初は8匹だったというのに、もう20匹か。ちょっとした大所帯だな。
少しずつレベルアップするために強いモンスターと戦わないといけなくなっていたから、経験値の効率が上がるのは嬉しいな。
そして二つ目の変化。それは『スライムメーカー』で作れるスライムの種類が増えているということだ。
「<収納>ってことは、アイテムを収納するっていうあの?」
これもまた、商人が使っているような便利なスキルの一つだ。
販路を求めて各地を転々とする商人にとって、大きな荷物は邪魔でしかない。それに、目立つ物を運んでいれば盗賊に襲われる可能性もある。
そこで<収納>だ。このスキルは道具をどこかの空間にしまっておいて、自由に持ち運びすることができるという。
「ちょうどいいや、ゴーレムのドロップアイテムをしまおう!」
さっきの戦闘を超えて、何匹かスライムたちが残っている。鑑定スライムとは別に、収納スライムを作成しよう。
「『スライムメーカー』でスライムを収納スライムにクラスチェンジさせる!」
――
承認しました。収納スライムにクラスチェンジします。
――
すると、スライムのうち一匹がさっきと同じように光り始める。どうやらこの光は変化の予兆のようだ。
光が消えると、そこにはリュックサックを背負ったスライムがいた。
「なんでお前リュック背負ってるんだ?」
「キュキュ?」
ふふ、かわいいな。遠足でもしてるみたいだ。
なんて考えていると、頭にメッセージが流れてきた。
――
鑑定の結果が出ました。
採取すべきゴーレムの部位は頭部の『エネルギーコア』、胴体の『アイアンハート』の二つです。
採取ルートを確立します。
――
ゴーレムの頭の一部と胸のあたりが赤く光った。どうやらここにはぎ取るべき素材があるらしい。
どうやらこの効果は鑑定スライムの効果のようだ。知らなかったんだが、<鑑定>スキルってこんなことも教えてくれるのか?
そのあとも、<鑑定>スキルはゴーレムの剥ぎ取り方をレクチャーしてくれた。おかげで初見のモンスターなのに1分もかからずドロップアイテムを手に入れることができた。
取り出した二つのアイテムは、かなりデカくて重い。アイアンハートの方はバランスボールみたいな見た目をしていて、牛のように重い。
普段なら絶対持ち帰れないアイテムだけど、今回の場合は違う。
――
対象:『エネルギーコア』、『アイアンハート』、『ウェアウルフの毛皮』、他25点。
インベントリ1に収納します。
収納中……収納完了。
インベントリの空き容量は98%。
――
次の瞬間、目の前の大きなアイテムが吸い込まれるようにしてどこかに消えた。
これで収納完了ということなんだろうか。だとしたら冒険が相当楽になったな。ついでに俺の荷物まで収納してくれている。
さすがにさっきの戦いでスライムを消耗してしまったし、俺自身もかなり疲れた。
今日はもう帰ろう。
「よし、じゃあみんな帰ろうか!」
スライムたちは俺の言葉に返事をするように、キューキュー鳴きながら飛び跳ねた。
こいつらが頑張ってくれたおかげで、何とかゴーレムを倒すことができた。本当に感謝しなくちゃいけないな。
それにしても、なんでゴーレムが3層なんかにいたんだろうな。危うく死ぬところだった。
まあ、ダンジョンなんだからちょっとした不規則なアクシデントくらいはあるか。今後はそれも加味して冒険をしよう。
ふー、疲れた。とにかく帰ってギルドでアイテムを売りに行こう!
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