第6.5話 阿倍 遥3
訓練終了後、あてがわれた地下の部屋に戻ると私はそのまま床に倒れ込んだ。
こちらの世界へ召喚される前から鍛錬を欠かしたことはなかったが、流石に今日は身体中に筋肉が崩壊したような痛みが走り続け、暫くの間、身体を動かすことは出来ない。
なんとか身体が動くようになると、あの女から教えてもらった水場へ向かい、ヨースケと一緒に汗と泥で汚れた身体を拭くための水を運んだ。
部屋に運んできた水を使い、私は身体を拭き始めた。
その間、彼は後を向き、私の裸を見ないように気遣ってくれた。
しかしながら、時々、こちらの様子を伺っている雰囲気と唾を飲み込む音が響いてくる。
彼の紳士的な態度は結構好感が持てる。それでいて、私の裸身に興味をそそられている様子も女として、とても気分がいい。
本当なら恥ずかしいと感じることなのだろうけれど、ヨースケなら見られてもいいと思った。むしろ、もっともっと、私に興味を持って欲しい。
『少し位、
何故かそんな気持ちになっていた。
私の身体を拭き終わり身だしなみを整え終わると、次に、ヨースケが自分の身体を拭き始めた。
思わず
こっそりとヨースケに近づき、ヨースケの背中を優しく拭き上げる。
「わっ」
ヨースケが驚きの声をあげる。悪戯の成功に思わず楽しくなる。
「えっ、な、何してるの」
「背中を拭いている」
「…」
ヨースケの初々しい反応は本当に
彼の身体を拭くために添えている左手に彼の身体の温かみが伝わってくる。
彼の身体に触れているのが非常に心地よい。何故か思わず
「あっ、あん…」
私のはしたない吐息が彼に聞こえてしまったかと思うと急に恥ずかしくなってきた。身体が火照ってくるのが分かる。でも、このまま彼に触れていたい。
もっと、もっと、彼の身体を感じていたい。
「前も拭いてあげる」
思わず呟く。
気が付けば、彼の身体に私の身体全体を密着させ、彼のお腹、胸、そして首筋を拭き上げていた。もう、漏れる吐息が止まらない。彼の身体に触れる感触が心地いい、ずっと、彼に触れていたい。
私は彼が居なくなったら生きていけないのかも知れない。一生懸命彼の身体を拭き上げた。
途中、違和感を感じ彼の下半身に目を向けると…
見てはいけないものを見てしまった。直ぐに視線を逸らしはしたのだが、しばらくすると視線はその下半身部分にまた戻ってしまう。彼に気が付かれぬよう慌てて視線を逸らすのだが、しばらくするとまた戻してしまう。何度か同じことを繰り返してしまった。
彼に気が付かれていたらどうしよう。きっと、はしたない女と思われてしまう。
『ヨースケ、私を棄てないで…』
彼の上半身は隈なく拭き終えてしまった。
後は下半身のみ…
『無理…』
私にはハードルが高かった…
晩飯は何時ものパンとスープ。私は上目遣いに彼を見上げ
「今日も食べさせて」
とお願いすると、彼の正面に近づき座る。
「うん」
彼は
スープを飲ませた後はすぐにパンを千切り私の口に運んでくれる。彼に餌付けされているようで幸せな感覚に満たされる。
私は
この時間が永遠に続いて欲しい。
今度は私の番だ。
「今度は私がやる」
と呟きパンを千切り口に加えると彼に口移しで食べさせてみる。
彼が口を開け、私が加えているパンを受け入れると、彼の口の中へ私の舌を使って押し込んでいく。私の舌が彼の口の中の粘膜の部分に触れる度に口の中から脳内へ
もう、私の身体は彼に支配されてしまったようだ。私は思わず彼の頭と首を抱きかかえ、気が付けば口付けを交わしていた。
暫く口付けを交わした後、私はパンを差し出し、
「今度は、私に食べさせて」
と上目遣いに彼にお願いする。
彼は私に改めて近づき直すとパンの欠片を口移しで私の口の中に入れ、今度は彼が舌を使って私の口の中にパンの欠片を押し込む。
そんな
食事の後から眠りにつくまで、幾ばくも時間は掛からなかった。
昼間の訓練による肉体的疲労と召喚による精神的疲労が二人を深い眠りに誘い込んでいった。
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