第8話 鬼ごっこライクヘル
朝になってもナンジャはまだ寝ていた。親父の寝室を
まあ昨日は大活躍だったしな。好きなだけ寝させてやろう。朝飯と書き置きを残してやる。
【朝飯を用意してやった。食ったら出て行け。
俺は学校でうとうとしていた。昨日のバタバタの疲れが少し残っていたらしい。
「せ、せんせい!
「……行っとれ」
俺はダッシュで校舎の入り口までたどり着くと、ナンジャを待ち受けた。
「おー、おぬし。わらわを
「おいこら、何しにきた、というかどうやってここをつきとめた」
「おぬしには
「てめえ、人間には
「ダメージがないだけで刻印の効果はあるんじゃよ」
「ほほうなるほど……じゃねえ。じゃあ昨日のなりそこないはなんなんだよ」
「
「手っ取り早いじゃねえだろ」
食い気味にナンジャの頭にチョップを
「いたいのじゃ~」
「痛みを感じるだけマシだ。殺されたら痛みすら感じないんだぞ」
「何度も言うななのじゃ~……悪かったのじゃ~」
明るい
「ところで何しにきた」
「おひるごはんどうすればいいかと思ってじゃな」
「あん?」
「お、おひるごはん……」
「なんで俺がお前のごはんを?」
「じゃ……じゃって……」
「犬も
「せ、せっしょうなのじゃ、いたいけな幼女をお前は
「いや……まあそんなつもりじゃないんだがな……」
俺はしゃがみ込んでナンジャと
「
「……つまりそれは……おきてなんじゃ……」
「
「い、
「一族の?」
「う~~~~…………」
「…………ふう」
言いにくそうだ。どうしたもんか。こんな
「わらわを追い出すとして、おぬしはあれをどうする気なんじゃ?」
「あれ?」
「なりそこないのあるじじゃよ」
「??」
「なりそこないがおるのじゃから、あるじがおるのは当然じゃろう?」
「???」
「わらわはな、なりそこないのあるじを狩るために、おぬしの家を
「ほう……?」
「あるじの
「は? おれ? 俺がなんで?」
「あるじと
「ほう…………」
「そやつは殺し屋が
「おうぅぅぅーーーーい! おいおいおーーーーーいぃ!!!」
なんたるとばっちりだ!
「死んでも知らんのじゃと言った!」
「……言ってたな」
「ほらあ!」
ほらあじゃねえよ……なんで
「まあいい……昼飯だったな。なんでもいいぞ、好きなもん食わせてやる。寿司か? 肉か?」
「わらわはな……おぬしに根城を追い出されるので旅立たねばならぬ。準備とかいろいろあって忙しいんじゃ、またな」
俺はガッシとナンジャの肩を掴んだ。
「
ガシガシッと両手でナンジャの肩を
「あはははは! 世話になったなおぬしよ! あたたかい風呂、そして
待てやコラ。
「わらわはな、おぬしに
白いブラウスを
「ありがとう、おぬしよ!
うおりゃあああ。俺は
「行かせるか……」
「なんじゃあ? ずいぶん情熱的じゃなあ。そんなにわらわに一緒にいて欲しいのか? んん?」
からかうようなナンジャの笑顔に、息が切れて言葉も返せず、こくこくとうなずくばかり。生命の危機だ。なりふりかまっていられない。
「ものには頼み方があるじゃろう?」
「お、おねがいしま……」
気がつくと、授業中の校舎の窓が、
俺は全身真っ赤になって、ナンジャを
カバンを取りに戻る勇気などなかった。
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