第3話
一平は無事に退院し、再び高校に復帰した。何度も屁をこき、何度も5分前にタイムスリップしながら。
普段、一平はクラスの人気者、というほどでもなかったが、退院してからの一週間くらいはクラスメイトにちやほやされた。
一週間以上経つと、ちやほやされてる感は全くなくなってしまった。
クラスメイトの一人が「一平ちゃんがオナラをするところを見た事がない!」と言い出すまでは。
そりゃ、そうだ。一平は屁をこいた瞬間に5分前に旅立つのだから、誰も一平が屁をこく姿を見た事があるわけがない。
一平は17歳の同級生達が面倒くさかった。
一平自身は20歳なのだから、高校生を相手にするのは面倒くさいと思うのはしょうがないがとにかく面倒くさかった。
「じゃあ、お前ら耳の穴かっぽじって、よーく見とけよ!」
「いや、見るのに耳の穴は関係ねぇだろ!」
クラスメイトの一人にツッコまれつつ、一平は屁をこく準備をし、クラスメイトに向かって自分の尻を突き出した。そして屁が出そうになったのでカウントダウンを始めた。
「3、2、1…」
ぷぅぅぅ~~~!
かなり高音の伸びる一発が出た。
「いや、見るのに耳の穴は関係ねぇだろ!」
クラスメイトの一人が叫んでいる。一平が5分前に見た景色だ。
思わず一平はキレて、クラスメイトの一人をぶん殴ってしまった。
「何回も俺に屁をこかしてんじゃねーよ!この17歳のクソガキがー!!」
一平にボコボコに殴られながら、そのクラスメイトは「何言ってんのかわかんない…」と鼻血を出しながら呟いた。
一平のイライラはピークに達していた。
数ヶ月後、一平はとうとう高校を自主退学してしまった。
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