若くして手に入れたふたりの世界は、ある日、いとも簡単に壊れてしまった。21回めの誕生日が近づいた、夏の日のことだった。
その部屋に残ったのは、主人公と……。残されたのが、新しい……命。
どうしたらいいのかさえわからないまま迎えた朝、背中越しに声をかけられた。
振り向くことも出来ずに立ちすくむ主人公は、涙が溢れるのを止められなかった。
そこに差し伸べられた手は、優しくて暖かかった。その想いに触れて、身の上を話し始める主人公。
どちらも、ほんの少し、勇気を出した結果が、この物語の今の関係なのだろう。
こういう関係が、現実世界では希薄になりつつあるからこそ、より素敵に感じるのかもしれない。
そして、新たな優しさが、手を……。