第24話 深黒の復讐者(リベンジャーズ)

 とある管理室→地下エレベーター――


「ふぅ~~間一髪だったよ……死ぬとこだった! AAOの中でさらに監禁されるとは思いませんでしたよ~~……ありがとうございます」

「もう死んでることになってるでしょ私達、大変だったのよいろいろと」

「それで、どーするんでしたっけ?」

「きっとストレリチアは失敗し、AAOワールドは削除される。そうなるとワールドにいる人達がお陀仏に。だからSecond Gameで使った市街地➀フィールドに一時転送。そのフィールド権限なら組織側は管理できない。そして潤羽水の記憶メモリをこちらに保存、怪盗の手で外の天音純の仲間に渡す。さらに天音純は復活してもらわないといけない」

「多っ!! やることが多いですよ。さん」

がいろいろ失敗しちゃうからこうなったの。反省してちょうだい」


 紫咲と呼ばれた背の高い長髪の女性は地下11階のボタンを押す。


「それで……何で地下11階なんかに行くんでしたっけ……?」

「天音純を復活させるには体が必要でしょ? 安全も確保したいし。私達はさっき言った仕事で手一杯だから協力してもらうの。おそらく監禁されていてお暇な復讐者さん元リーダーにね」

「紫咲さん! それってもしかして!」

「そ。1人足りないけど……再結成ね。組織犯罪対策特殊課……懐かしい響きね」

「はい!!」





 花見アクアパーク、電光掲示板裏――


「スナイパーが2人いるって言ったろ……! ハアハア……。そいつらを捕まえるのが最優先事項じゃないのか? 何なら協力してやってもいいぜ」

「怪盗=噓つきってな! ハア……ハア……」

「息あがってっぞ……」

「お前もな……」


 バキュンッ――!!!!


「「!?」」


 野球場の方から大きな銃声が聞えたのを2人は確認した。


「おい! 中断だ! こんな茶番、俺は先にグライダーで向かうぞ」


 バサッ、バサッ、!


「おい! ストレリチア待て!」


 ………………


「おい! 何だこの血の量――!! 燈火、何があった!?」

「……避難場所以外の電気を消されたのよ……!」


(そーいえば全部真っ暗になっていたな……)


「まさかお前……」

「明かりが無いと……爆弾解除ができないでしょう……?」

「スナイパーが2人もいるんだ! もう場所がバレてる! 止血して一旦ここから飛ぶぞ」

「待って……飛ぶならアクアパークタワーに向かって! 最後なの!」

「バカか! 諦めろ、時間もヤバいし、もう避難はだいたい終わってるだろ」

「……あのアクアパークタワーの近くには……老人ホームがあったはず。もしかしたらまだ避難できてない人がいるかもしれない」

「ったく……。自分より他人かよ」

「私は自分が他人みたいなもんだからね……」

「乗れ、小柄だから暗くても安定して飛べる。この暗闇で明かりさえつけなければ飛んでる間は弾丸は当たらないだろう」

「ありがとう……」





『ロベリア、ターゲットは?』

『すみません、ボス……。あと少しです』

『天音雫の方はこのままだとこちらにたどり着きそうだな』

『まさかっ!? いったいどうやって……!』

『どうやらAAO内でできた仲間たちと協力しているらしい。だが水も一緒なのは好都合だ。それ以外のゴミ掃除は私の古くからの友達に既に任せてある。お前はベロニカとともにアクアパークにいる奴らを墜とせ』

『先ほどからベロニカ様の姿が見えないのですが……』

『……を取りに行ってるんだろう』





 アクアパークタワー展望デッキ――


「おい! あと何分だそれ!」

「……」

「おい! 大丈夫か、やっぱりその傷……俺のと違って絶対かすり傷じゃないだろ」

「違う……時限爆弾じゃない」

「は?」

「これは確実に爆発させる爆弾だ……」

「じゃあいつ爆発するんだ! その爆弾は!」

「火を点けるとかすればボンね……」


 ブウゥウ―――ン!!!!


 近くでヘリコプターが飛び立ったような音が響き渡った。


「救助ヘリでしょ……きっと」

「……じゃあ何でこっち向かってきてる!!」


 ダダダダッ! ダダダダッ! 


 激しい銃声とともに展望デッキの分厚い強化ガラス窓がハチの巣にされた。


ヘリコプターだ!! 伏せろ!!」

「――ッ!!」


 2人は床に顔をつけて平行になるような態勢を取って弾丸の雨に備えた。


『ベロニカ様』

『次は貫くわ。一度旋回する』


「おい! 何爆弾抱えてんだ! そこに置いて逃げるんだ!」

「違う! 奴らはこれを爆発させて私達を殺そうとしてるの!」

「そんな威力やべーのか……よ。けど次も避けれるとは限らねーんだぞ!」

「……反撃するしかないでしょ」


 燈火はリュックサックから組立ライフル銃を取り出してその場で組み立てていた。


「そんなもん持ち歩いてんのかよ!」


 バキュン!!


 ライフルの弾は空を切った。


「当たるわけないだろ! そもそも攻撃ヘリコプターが見えねえ……うまく暗闇に擬態してやがる……」

「怪盗のくせに何も策がないの? 何か手品でヘリを空中の良い場所で止めるかヘリだけ明るくして」

「それは手品じゃなくて魔法レベルだろ!」

「…………」

「ちょっと耳を貸せ……」

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