第15話 Secret➂
瑞希の視線の先のスクリーンに天音も目を移す。
「あれ、瑞希の部屋か?」
「……そう。
「学校とか……楽しくなかったのか?」
「この目ってね他の人とは違うんだよ。他と違うってことは普通じゃないって意味だ。関わった人は必ず僕に対してズルい、便利、怖い、気持ち悪いって感情を抱くんだよ。友達になっても必ずそこの壁ができるんだ」
「でもその目があったからこれまでのゲームを勝ってこれたように誰かの役に立つことだって多いんじゃないのか」
「だからだよ」
「?」
「この目は
「……そうか。普通と少し違うだけで変わり者扱いされる世界だもんな、現実は。ん? あーそうだ! 瑞希に会わせたいやつらがたくさんいるんだよ」
「それってお兄さんの友達?」
「そうそう! 生まれつき白髪でそれに悩みながらも正義感が強い探偵やってるやつだったり、ある組織から逃げ出して全て失ってそれからまた何かを見つけようとしてるやつだったり、スパイがバレて死にそうになってるやつだったり」
「なにそれ、全員ヤバい人たちじゃん。お兄さんの周りは楽しそうだよホント」
「じゃあ一緒に、」
「でも帰らないよ」
「そうか……」
紙に大きく〇を書いた瑞希の回答を最後に全員の回答が提出された。〇×どちらが正解かは提示されないままFinal Gameは幕引き。多くの脱落者を出した長く険しかった全てのゲームは終了した。複雑な心境の6人は優勝景品をそれぞれ受け取った。
「優勝おめでとう。天音純。勝つためなら何でもする、Second Gameではいい表情だったぞ。あれはまるで狙った獲物を必ず頂戴する怪盗のようだった」
「悪いように解釈するな。いつも通り必死に頑張っただけだ」
「何でも叶える権だったっけか、ほらよ」
「何だこれ? カード? とタブレットか」
「こっちの潤羽水がいる部屋のカードキーだ、そこから現実世界に戻れるようにも準備もしてある」
「サンキューな。このタブレットは例の異世界のやつか?」
「それは選択してないだろう。AAOニューコンテンツの異世界に行きたいってやつにはまた違うカードキー渡してんだよ。それは研究レポートの一部だ。これはお前だけに渡すものだ。よく見てからそのカードキーを使え」
◇
パーティー会場内、休憩室――
『研究レポート概略』
「KARASU……AA計画の最終、AAOについて……。なんだ……これ」
…………
レポートを見終わった天音はタブレット端末の電源を落としてしばらく固まっていた。これまでのKARASUの行動を思い出しながら現実世界の潤羽水の姿を頭に浮かべた。
「AAO…………天使創造計画…………天使104号…………潤羽水…………」
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