第13話 Secret➁


「ちょ、天音さん! 急に何言い出すんですか?」

「そうや天音君! 諦めたんとちゃうんか?」


 天音は思わず笑みを浮かべて「作戦通り」「まさかこんなにうまくいくなんてな」と二人に移動しながら話した。


「最初の作戦室の道具と時間のリストがあっただろ? あれ、リストなんて書いてなかったんだ。書いてあったのはリスト」

「まさかっ、お兄さん! 悪い人だぁ……」

「バカタレ、どーしても勝ちたかったんだ犠牲者0で……」


 天音は走りながらブレスレットから不知火チームに貸していたドローンと警察犬ロボットを売って、残り時間を110分まで回復させた。


「110分!! 天音君~~!!」

「おそらく不知火は俺達はタイムオーバーだと思い込んで今頃牡丹と合流でもしようとしてるだろう。今のうちに犯人を……!」

「でも、肝心な犯人の場所が……」

「また、購入すればいいさ。警察犬を」


 その約三十分後に見事天音チームは犯人を見つけ出し、ロープで縛りあげることに成功した。


【Second Game終了。勝者:天音チーム】


「今頃、不知火のやつ、ビックリしてるだろうな」

「「でも!!」」

「……ん? どうした? 瑞希、緑川さん」

「「何で勝手に何も言わずにそんな作戦やっちゃんだ!!」」

「わ、悪い……。まっ! 騙すなら味方からってよく言うし……その、ごめんなさい!!」

「あ、逃げた!」



 Second Game終了とともにそれぞれのフィールドの勝者たちがまたパーティー会場に集まってきた。フィールド一つにつき、勝利チームは一チームのみ。ここには、最終ゲームに行けるのはこの六チームだけということになる――。






 Second Gameが始まる少し前、小部屋で瑞希と分かれた天音に一人の男が話しかけてきた――。


「華麗に振られたな。探偵」

「!? ストレリチア! 今度は触れるみたいだな」


 天音は襟を引っ張る。


「お前……このゲームAAOをどうやって出ようと思ってる?」

「さあな、とりあえずこっちからは無理ってことがコスモスとの会話で何となく分かった。現実世界の仲間を信じて待つしかないな」

「相変わらず仲間だよりな男だ。その甘さ故に俺にあの日の夜負けたんだお前は」

「その後逆転したんだよ! 仲間のおかげでな」

「だから……。このAAOでは1人だって言ってんだ。次のゲームはそう甘くないぞ」

「そうでもないぜ? 俺は仲間ってのは増えていく運命にあるもんでな」

「……そうかよ。なら良いこと教えてやる。俺は今回このエンターテイメントを組織から任されてるがこのAAO自体は反対してる。つまり裏切ろうと思ってる」

「何!?」

「気づけ! この優勝景品やFirst Gameで」

「優勝景品?」


『優勝者には新たなる世界への招待状または何でも願いが叶う権のどちらかが貰える』


(たしか、こんな感じの内容だったはず……)


「何でも願いが叶う権……」

「そうだ。帰れるってことだ現実世界に」

「……確かにそうだな。俺が帰ったらこのAAOのみんなを現実世界に戻す。そして……水。あいつの親について聞きたいことがある」

「へっ、だいぶ核心に迫ってるな。ならせいぜい頑張れ」

「そのお願いの前に一つ。あのちっこい黒髪の潤羽水は誰なんだ?」

「…………。そいつは……優勝したら教えてやる」


(探偵……を知って現実世界に戻った時、俺たち幹部の過去の行動の意味や事件の真相が全て繋がってわかるかもしれない。KARASUを壊滅させることができるかもしれないだろう。だが、新たな問題が生まれる。あっちの潤羽水はを知ったとき、なんて思うかな……?)




「なら、多少強引な手を使ってでもこのゲーム、優勝するぜ……。潤羽水こっちの真実を知るためにも……潤羽水あっちに帰るためにも……!」





Second Game 終了直後――。



(何とか勝った……後はFinal Gameだけだ)


「やりましたね!」

「あぁ」


『エンッタ~~テ~~イメンツ!! 畳みかけるようにいくぜ! 次はいよいよ~~~~Final~~Game~~~~!!!!』


(うるさいのもだんだん慣れてきたな)


『今度は休憩の前に説明を始めるぞ!』




 遂にFinal Gameが今、幕を上げる――。

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