第12話 Second Game➂

 南エリア――。


『おい、歌。に着いたぞ、どこだ?』

『気軽に歌って呼ぶな! 今1人骸ってやつと戦ってるっ』

『バカ! 逃げろ! 目的は犯人の確保だろ?』

『ヤバいっ一旦きる!』


 ブツン――


「骸は南の方で何やら苦戦してんのか。あらぁ~こんにちはぁ、奏チームのリーダーさんやないのぉ~」

「東堂チーム……か」

「刃っていいます。えらい強そうな名前やろ? 自分でもお気に入りの名前やねん」


 中央学校群――。


「どうやら犯人に一番近いのは俺だけだな」

「「東堂チーム、間に合った! リーダー1人だけなんて無防備ね」」

「不知火チームのリーダー以外か。お嬢ちゃん達」

「行かせない! 勝つのは不知火チームよ」





「ぉ~こわ。ハンドガンにナイフの二刀流~。奏さん、何か武術でもやってましたの? そないな戦いなれた男の子見たことない、アニメの世界からでも来られたんです?」

「こっちからすりゃ、手ぶらで全部かわすあんたが怖いぜ」

「うちの隊はみんな武闘家でな、First Gameはほんま苦労したで~」

「みんな……東堂チーム……手ごわいな」

「君、強いのは認めるけど、南エリアあっちの彼女さん大丈夫~? 僕はのんきやけど骸君は容赦ないよ~?」


(歌姫……。どこにいる……? もうゲームオーバーなんてないよな?)



「いつまで追ってくるのよ!! 骸だっけ? 怖いんだよ名前も行動も全部!」

「リーダーの命令……敵チーム……殲滅……」


 ババババッ! ババババッ!


 盾に大量の弾丸を浴びされながら歌姫がこちらの大通りに向かってくるのが奏と刃の場所からはっきりと見えた。


「歌! って! おい! そのままこっちに来るな!」


「ぉ~骸君、合流や。これで2対2」


交差点を隔てて東堂チームの骸、刃、そして奏チームの奏、歌姫が対面する形になった。


「歌、2対2になった時の作戦を覚えているかい。あと怪我してない?」

「覚えてるって! そしていちいちうるさい!」


「骸君、銃ばっかじゃ盾に防がれたまま硬直状態になるよ」

「殲滅……」

「聞いてるん、僕の話……。きぃつけや、奏君がナイフを一刀に腰にハンドガン、もう1人がナイフ二刀。何かしてくるで」


(いいかい、歌。勝敗関係なく一瞬で決着がつく)


「行くぞ!」


 奏はブレスレットを胸に当てて購入済みのドローンを宙に飛ばし、その勢いで腰からハンドガンをすくって無防備の刃に弾を撃ち込んだ。斜めに風を切っていくドローンを打ち落とそうと必死に骸がひたすらに連射する。


「骸君はともかく、僕は惑わされんよ~」


「シールド!!」


 奏が自分の背中に斜めになるように盾を出して、それを足場に歌姫が両手にナイフ構えて高くジャンプした。


「骸君! 彼女はナイフだけや! 撃ち落としてや」

「シールド解除! 歌!! チェンジだ!!」

「チェンジ!?」


 奏と歌姫はチェンジの掛声と同時に今外に出しているドローンを含めた全ての武器を引っ込めた。


「ライフル銃……購入!」

「骸君っ、盾で防ぐんや……!!」


 骸は両手のハンドガンで飛んでくる彼女を攻撃するも掠るばかりで仕留めきれない。


 バッアン!!


 即座に購入したライフル銃で歌姫は骸をゲームオーバーにすることに成功した。骸を倒した直後、致命傷ではないもののハンドガンの弾を受けたことにより地面に強く落ちてしまい、起きれずにいた。


「相打ち、と……見事な作戦。まさか……戦闘中に武器を出し入れするとは……流石に想定してませんわ」

「まだのんきにそんな分析してるのか? 刃、お前もゲームオーバーだ」

「僕に当てられるの? 君のナイフ捌きで」


(歌、君がここまで踏ん張ったから今この状況がある。俺もやらなくちゃな……)


「ライフル銃……購入……。歌姫あいつはまだ意識がある、必ずな!」


「何や……っ! まさか!!」


 大きな銃声とともに二人は磁石のように吹き飛んだ。刃が手にしていた盾にはぽっかりと大きな穴が空いていた。


(っ……はぁ……。ドローンを出して衝撃を防ごうとしたが……間に合わなかった)


【東堂チーム:刃、骸、奏チーム:奏、ゲームオーバー。残り8名】






 中央学校群――。



「はあ、はあ、あなたのチーム。リーダーあんた以外いなくなったんじゃない? 連絡取れてないみたいだけど……」

「…………」

「地面に突っ伏してる気分はどう? 花火が見えないところで最後の力で足に結んでおいたロープを引いたのよ」

「油断したな……それとも刃と骸の心配で雑念が入ったか……。これだけ言えるのは最近のお嬢ちゃん達は……かなり野蛮のようだ……ぜ」


【東堂チーム:東堂、不知火チーム:花火、ゲームオーバー。残り6名】





『そうか……よくやった。牡丹。休んでいろ。後は私がやる』


天音チーム俺達の残り時間は5分か……。だいぶフィールド内も静かになってきた頃か? 不知火」

「余裕だな。他の2人は相変わらず気分が悪そうだが……」

「……今はな」

「うちのメンバーの1人がやられた。が……他のチームはもうほとんどいないと言ってもいい。うちはお前が貸してくれたドローンと警察犬で被害を最小にできた。何よりお前のチーム3人とも戦闘不能状態で動けたのが大きい。感謝する」

「取引だ。最後に勝つのが誰かはまだ予想できない。なあ不知火?」

「何の話だ?」


 天音は不知火に自分のブレスレットを見せる。


「取引の40分監視は今終わった。俺達3人を解放しろ」

「バカなのか……今解放したところで残り時間1分のお前たちに何ができる!? 私を今ここで殺すのか? だがSecond Gameの目的は果たせない。市街地➂の勝利者はゼロだ!」



「決まってんだろ、俺は駄菓子屋探偵。犯人を確保する」


 





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る