第11話 Second Game➁
東エリア――
(ここが東マンション……。俺は外のドローンがギリギリ操作できるこのエントランスに身を隠さないとな。このエントランスは受付の裏をぐるっと一周できるのか、そしてサイドに上階に行く階段とエレベーターがある……と)
……
「ドローンか? とんだバカもいるもんだな」
『不知火チームは東マンションを目指す』
「ドローン……。誰かいるな? 俺は人が多いとこで戦いてえ」
◇
「おーい! 瑞希!」
「緑川さん! 早く合流できましたね」
「ああ。もう30分ねえんだ、急ごう」
目立たない住宅街を細かく的確に移動しながら瑞希と緑川は中央を目指していた。次の角を曲がれば一直線に学校を目指せるという所で思わぬアクシデントに二人は遭遇してしまった。
ワン! ワン!
「あれは、不知火チーム……! 瑞希、引くぞ! 回り道しながら撒くぞ」
「天音チーム、2人か。ここで沈めよう、花火! 裏から回れ。挟み撃ちで叩く」
不知火は両手にハンドガンを持ち、腰にナイフを装備していた。緑川は盾を出しながら自分と瑞希を守るように持ち、ハンドガンの弾を防ぎながら後退していった。
(不知火チーム……3人か、もう1人は別行動か? それに残り時間が多いな)
カキンッ! カキンッ!
「逃げるばかりか?」
「ちょ、待ってくれへん? 可愛い顔してるなお嬢ちゃん、今度お茶でもしない?」
「今、ここで自害でもしてくれたら考えてやろう」
「けっ、難儀なやっちゃなぁ……瑞希! 前に盾出せるように準備しとけ! 挟み撃ちされてる!」
◇
東マンション――。
「お前がドローンの操縦者か? 犯人はここか?」
「さあな……上に言ってみればわかるかもよ?」
エントランス――トライアングルの形で天音、戦国、牡丹が睨み合う。
『不知火さん、私どうすればっ』
『知るか! 今こっちも天音チームとはちあってんだ、なんとか撒いてこっちを援護しろ!』
「取引しませんか?」
「あぁ? 殺すぞ」
(戦国はあのズボンに装備してある大量のナイフ……。近接戦だ。それにあの牡丹とかいう女の子……リーダーとの会話からここからでも援護できるということは遠距離スナイパーってとこか。よし!)
天音は牡丹の方にダッシュしてそのまま上階を目指して戦国と牡丹が戦うような形を作った。
「ちっ、逃げたか。まあこいつを刺してから追うとするか」
(すまん、緑川さん、瑞希……ハンドガン、購入……! 足音をたてるな……呼吸を乱すな……! このエントランスは裏をぐるっと回ることができる。2階に行ったように見せかけて背中を撃つ!)
――バン!
重い銃声とともに戦国は前屈みに倒れ込んだ。今にもナイフで刺されそうになっていた牡丹を天音が助ける形になった。
【戦国チーム:戦国、ゲームオーバー。残り11名】
(さっきのハンドガン購入と戦国を倒したことで残り時間は50分ないくらいか)
「残り11? 誰か他でもやられたのか」
「それはリーダー、不知火さんがやったのよ王子チームの王子ね」
「なるほど」
「あっ、ありがとね……」
「あ~~当たってよかったぜホント。こんなの使ったことねぇからさ。それでもう一度言うぜ、取引しませんか?」
「――ッ! さっきの台詞、あれ私に言ってたの!?」
「もちろん、戦国をゲームオーバーにして君を助けるから取引しないかって意味」
「……賢いね、私のリーダーくらい。で? 何の取引?」
「今残ってる他チームを不知火チームの2人が東西南北のどれかにひきつけておくか倒してほしい。そして犯人は追いかけるな。代わりに俺達天音チームは警察犬とこのドローンを不知火チームに渡す。そして残り時間約40分俺達は何もしない。それを監視してくれ」
「!? ……リーダーと通話させて」
『リーダー、こちら牡丹。天音チームから取引を持ち掛けられて……』
……
『いいだろう。ただ監視は私がする。お前と花火は合流したのち、残ってるチームを叩いていけ』
『了解しました』
ほっとため息をついて通話を切って牡丹は天音を中央の住宅地に連れていき、リーダー不知火に引き渡した。
「これがドローンと警察犬だ」
「天音チーム……よく分からんリーダーだ。裏切りの可能性のためそこの2人は縄をかけさせてもらう。おまえは盾以外のハンドガンとライフル銃をこちらへ渡せ」
「ああ。すまない! 瑞希、緑川さん!」
天音チーム、残り時間41分――監視時間、40分――。
「天音君、いったい何があったん? もしかしてこっちがピンチだからかばって……それで……」
「お兄さん、僕たちが危ないからってゲーム、諦めちゃうんですか!? もうこれじゃあタイムアップを待つだけ……」
二人は天音に対して申し訳ないと思いつつもゲームをすぐに諦めてしまうような行動を取ったことに少し疑問を持っていた。First Gameで見せた生き生きとした天音の表情は跡形もなく消え去り、ただただ不知火チームの言われたことを聞くだけのロボットのようになってしまっていた。
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