第10話 Second Game➀

 フィールド転移、10分前。天音チーム、作戦室――


「まず作戦を考える前に何が買えるのか確かめないとな」


『  売買可能リスト

 犯人座標……… 105分

 ドローン…………60分

 警察犬(匂覚)…50分

 地図………………15分

 ライフル銃………10分

 盾(人数分)……10分

 ハンドガン………07分           

 ナイフ(二刀)…06分

 ロープ(縄)……05分

 トランシーバー…01分 』


 『フィールド一覧

   ※天候ランダム

  広さ:10km×10km

    市街地➀

    市街地➁

    市街地➂

    遊園地

    森林

    海岸

            』


「計150分。フィールドは確率的に市街地になるって考えておいていいな。さて、何を買うかだがこれは迷いどころだ」

「普通に考えたら犯人座標+地図+ロープ(縄)+トランシーバー×3の計128分、残りの22分で犯人確保の手順だろうかね? 天音君」

「だが、もし位置運が悪かった場合に22分だと犯人に到着できないかもしれない。3人バラバラに転送されるならトランシーバー×3は必須でロープ(縄)も確保に必要だろう。それ以外を考えよう」

「緑川さん、さっきから何してるんですか?」


 二人の隣で準備運動を始めた緑川は張り切りながらこう言った。


「ライフル銃とハンドガンにナイフがあるってことは戦闘が必ず起きる。を極めしこの緑川さんの出番やと思うてな!」

「サバゲ―!? 緑川さんマジっすか!」

「せやさかい予想がつく。必ず危険な思想を持ったチームが現れる」

「殺し合い…………」


 小さな声で瑞希が呟く。


「経験者ってわけやないけどな、これは確保っちゅう目的を見失ったらあかん。他チームに集中しすぎるのはナンセンスや。天音君みたいに頭使えって話や」

「なら、頭脳戦……他チームを騙しつつ安全思考でってことですね」

「そうやね」

「こちらには瑞希のおかげで手に入れた警察犬がいる。なので地図だけで犯人座標はいらないでしょう。安全志向なら盾もいる。これで犯人を追跡できると仮定して他チームの妨害をどう対処するか……ですが、」

「……やっぱ緑川さんには武器を持ってもらったほうがいいんじゃないかな?」

「瑞希?」

「あくまで護衛としてね」

「よし!」


 天音は黒のマジックペンで購入するものに丸をしながら作戦を伝えた。


「犯人の追跡および捕獲は瑞希と緑川さんにお願いする。瑞希は匂いを覚えた警察犬を連れて地図を見ながら追跡だ。記憶力良いらしいしな。場所把握能力は一番高いだろ。そして緑川さんはまず瑞希の指示を頼りにして合流。ハンドガンとナイフを買ってもらい、瑞希のそばで護衛および犯人を縛るためのロープを持っていてもらいます」

「「了解」」


 

 Second Game開始まで残り、一分をきる――。


「天音君はどーするん?」

「主に妨害です。その際にドローンとライフル銃を買わせてもらいます」

「ほんまか!? 残り時間大丈夫か……?」

「残り時間34分。短いですがこれについては考えてあります」

「ほな大丈夫か。天音君がリーダーや」

「俺が!? ここは緑川さんの方が……いいんじゃないですか?」

「あかんあかん! こういうのは天音君みたいなのがええの。もうとっくに俺らは天音チームやないの~」

「そ、そうですか……分かりました」


 開始三十秒前になり、ブレスレットから音声が流れる。


『作戦室で購入していただいた商品はゲーム開始後、いつでもブレスレットから出し入れ出来ますのでご了承ください。またゲーム中の商品売買も可能となります。なお、残り時間およびチーム名はプレイヤーの頭上に常に表示されます』


 カウントダウン開始――3、2、1、ゲームスタート!




 ◇



 

 【市街地➂ チーム:天音、王子、戦国、不知火、奏、東堂】


市街地➂は中心に大きな学校群がある学園都市で東西南北には学生専用の高層マンションが立ち並んでいる。遠距離ライフル銃を使うプレイヤーはまずそのマンションの高さを利用して中央を走るプレイヤーを狙う可能性が高いだろう。



『こちら瑞希、今西のマンション付近に転送されました。緑川さん?』

『あい、こちら緑川。今合流する、ターゲットは? 警察犬はどーだ?』

『それがロボットでビックリ、でも性能は高そう。中央の学校に向かってます』

『OK。西マンションから中央の学校の直線上のどこかで合流しよう』

『はい!』


『こちら天音、緑川さん』

『そっちはどこにおるん?』

『ほぼ反対の北東部です。他のチームは3人じゃないかもしれないということを忘れてました!』

『それがなんか問題あるんかいな?』

『時間を自分1人だけに大量に使えるということです……気をつけてください。俺はターゲットの反対側にドローンを飛ばして妨害します』

『分かった! ターゲットは中央の学校群や!』


 序盤の動き方を確認し合い、天音チームのそれぞれは動き出した。


(東マンション……そこだな。ドローンを派手に飛ばせば犯人の位置が現状分かってないチームを呼び寄せることができる……)



【王子チーム:王子おうじ


「誰とも会いたくないよぉ~~。頭脳戦だけじゃないのかぁ~~怖いぃぃよぉ~」


【不知火チーム:不知火しらぬい牡丹ぼたん花火はなび


『まずは合流よ! そのために時間は残してある』

『はい! リーダー。花火、犯人の居場所! 分かる?』

『牡丹さ~ん。武器以外買ってないのもう~忘れたんですか~~?』


【奏チーム:かなで歌姫うたひめ


『どこだ、歌姫。合流だ』

『命令すんな! 下にいる!』

『下!? だから! 場所は上下左右じゃなくて東西南北で言え!!』


【東堂チーム:東堂とうどうむくろやいば


『いいか? お前ら。作戦通りまずは他のチームの殲滅だ!』

『『了解』』

『俺は中心に行く。骸は東、刃は西だ』

『『了解……』』


【戦国チーム:戦国せんごく


「強そうなのは……どいつだ……? デスゲームスタート……だ」



 十三のプレイヤーが今、それぞれの目的に向かおうとしている――。

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