第6話 First Game➀
「おっと、正確には1つ目と2つ目のゲーム、連続だ。最初のゲームクリア条件は……犯人を当てろ! Dying Message Game~~!」
ストレリチアの言っているテンションと内容のギャップにまたもや会場が困惑していた。Dying Message――。死亡した人物が死の間際に残したメッセージ。その多くは殺人事件と結び付けられる。急な事件性のある単語に天音も動揺していた。
「安心してください。仮想の推理ゲームと思ってもらえると助かります。これから3人1チームにランダムで分かれて今回の事件を推理してもらいます。詳細は……分かれてからのお楽しみ♪」
会場に入る際に参加者を示す証明と渡されて手首に付けていたブレスレットが光り出し、瞬く間に二つのドアが並んだ小さな立方体の部屋に転移した。
「うおっ! もう始まったのか?」
天音はぐるっとその部屋を見渡すと同じチームと思われる二人が隅に座っていた。一人はフードを深く被り体育座りをした中学生くらいの中性的な顔をした少年でもう一人はぼさぼさの髪でしわくちゃなスーツを身にまとった三十代くらいの男性。天音と同じく今の状況に困惑していた。
「あ、また来よった! よろしゅうな。俺は
「よ、よろしくお願いします。天音純。駄菓子屋探偵です」
「駄菓子屋さんと探偵さんか? はあぁ、けったいな人は好きやで!」
こうも気さくに話しかけてこられたのは久しぶりだなと天音は静かに思いながらも気持ちがいい人そうでよかったと安心もしていた。
「むこうにおるのはまだうまく話せておらへんけど3人仲よくしよか~」
「はい! ところでここは何の部屋です?」
「それが俺にもわかれへんのやねん。ここで推理ゲームってゆうてもなぁ」
しばらくの間二人は部屋を捜索した。二つのドアは鍵がかかっていて他には何もない。天音はもう一人とどうにか仲よくなりたいと思い、何をどうやってしゃべりかけたらいいのかあれこれ考えていたが駄菓子を持ち合わせていない状態で上手い案は結局出てこなかった。
『皆さん、改めましてこのゲームの支配人、怪盗ストレリチアです。今から2つのドアの間に解いてもらう事件などを全て提示します。制限時間は30分。ではでは! 健闘を祈る』
突然の音声は嵐のように過ぎ去り、ドアの間に大きな張り紙が現れた。
「これがその推理ゲームとやらが書かれた紙か?」
隅にずっと座っていた少年も流石に気になったのか紙の前へと近寄ってきた。天音は書かれた内容を声に出して読み上げる。
『とある駄菓子屋で50歳男性店主が殺された。ナイフで胸を一刺しだった。警察が駆け付けた際に店主の近くにはDying Message が確認された。
※Dying Messageの内容は一番下に示す。
警察は絞り切れなかった3人のあやしい人物をそのメッセージで特定することにした。
※3人とも店主を殺す動機は確認できたが、決定的な証拠はない。
1人目:
2人目:
3人目:
※下にそれぞれの全体像を示す。
☆Dying Message☆
コンブちゃん
カステラダイコン
』
読み終えた瞬間に録音の機械音声データが再生された。
『3人のうち1人が犯人。Second Game はその3人の自分が犯人だと思った1人の追跡です。。3人チームということは……。全員バラバラになれば1人は必ず正解になり、Final Gameに参加できる。協力しても良し、蹴落として自分を信じても良しの推理ゲーム、開始となります。また、さらなるヒントとして左の部屋を殺害前の状態の部屋、右のドアの部屋を殺害後の部屋として準備してあります。それぞれ10分間だけ入れますのでご注意を……』
――ブレスレットの時計が制限時間である三十分をカウントし始めた。
「だいだいわかったか?」
「天音君……駄菓子屋探偵やっけ? 君にぴったりのゲームちゃうん?」
「そうですね! 俺に任せてください」
「天音君!!」
「緑川さん!!」
二人はラッキーな問題がきてついてるとお互い固い握手を交わした。言葉にせずとも天音は協力していけそうだと気持ちが高ぶっていた。
「お兄さん……探偵なんですか?」
少年が言った。
「ぉ、そうだぜ! そういえば君……名前は?」
「
「「よろしく!」」
「すみません……僕、誰かとしゃべるの苦手で……でもゲームは好きなので……」
「大丈夫。俺もこの明るいおっさんも変な悪い事なんて考えてない。3人で頑張ろうぜ!」
「あ、明るいおっさん!?」
軽い挨拶を三人で初めて交わして短い相談の末、事件前の部屋に十分間滞在、事件後の部屋もまた十分間滞在し、残りの時間で犯人を特定することにした。
いよいよ、KARASU幹部のストレリチア主催のエンターテイメント、First Game(推理ゲーム)が幕を上げた――。
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