第二部:幻実世界篇

プロローグ➁


 布団から起き上がって初めて思ったのは頭が痛いということだった。見覚えのある部屋の風景。見渡すとここはよく知っている自分の経営している駄菓子屋。


「何か足りないような気がするんだけどなぁ~~。ま! 気のせいか!」


 この古びた駄菓子屋を一人で経営している若い男の名前は天音純。カッコつけたがりで子供っぽいが町のみんなに顔を覚えられている、わりと人気者。最近の悩みは色々と忘れっぽくなっていることと夢で変な夢を見ることらしい。


「はい、おばちゃん。駄菓子袋詰め1セット500ね」

「ありがとね、天音ちゃん。それでその変な夢ってのはどうゆうのだい?」


 天音は手を顎にあげて天井を見上げて少し考える。


「なんつうかな~。その、俺が探偵になってるみたいな? よく思い出せねえんだよ!」

「あははっ、天音ちゃんほんと夢まで幼い子供みたいなのね~」

「いつもは大人だろ!」

「じゃあ、また来るよー」

「はい、毎度ありぃ~」




(こんなに広かったっけ……俺の駄菓子屋って……)

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