一章:駄菓子屋探偵登場
第1話 駄菓子屋探偵
町のみんなはキャラの濃いやつらばかりだが仲間想いのいいやつらばかりで、個々の違いを尊重し合い朝から晩まで笑いが絶えない――。そんな美咲町を天音純は愛している。難事件に困った時はいつだって協力してくれる。ここまでの説明なら一見普通の名探偵だ。しかし、天音純は自らを駄菓子屋探偵と名乗る少し変わった男だ。
「駄菓子屋以外でもアルバイトとかやれば? どーせお客も来ないし暇でしょ?」
「バカタレ!
「はいはい」
性格は少し冷たい面もあるが天音は水の優しい面も知っている。いつも一歩引いたような、自分のことにあまり興味がないようなところは少し気になるが、まあ基本は良いやつである。
「だいたい迷子の猫捜しって……お花屋の
「なーに言ってんだ、俺らはこうやって探偵やってるけど、できてるのはこの町のみんなに信頼されてるからだ。その気持ち程度の恩返しだよ、駄菓子屋は。いつか水にもわかる時が来るさ」
「はいはい」
1年前に水の両親からしばらくの間この町を離れるから気にかけてくれと言われ、駄菓子屋の隣りのアパートで一人暮らしをすることになった。天音は水を探偵業の相棒として駄菓子屋探偵をやっている。面倒を見るつもりが天音の生活が見るに耐えないと水に面倒を見られてしまう始末であるようだが……。
「両親からなんか連絡あったか?」
「まだ……」
「探偵やってればきっと何か情報も入るさ! 必ず!」
「そ、そうだよね」
ここはもうお前の家でもある――。天音は微笑んでコーヒーカップに手を差し伸べた。
水はカッコつけてコーヒーカップで緑茶を飲まないでと呆れた表情を天音に向けながらもどこか嬉しそうな顔をして学校へ向かった。
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