第83話

ルーラが戻ってきて、ある物を渡された。


「カードのようですね」


サナが言った。

バルやサナはこれが何なのか分からないらしい。


「これは王城が特別に発行した、通行カードです。簡単に言えばどこでもどこにでも行くことができます」


なるほど…より便利になるのか…


「おそらく、これからいろんな所に行くんですよね?」


「多分な」


「ならこれを見せればすぐに通してくれますよ。こう見えても友好な国は沢山あるのでだいたいは通れるはずです」


これなら受け取っておいて損は無いな。


「ありがとう。あと5日ぐらいは王都にいるかな」


ルーラがうんうんと頷いている。


「どうした?」


「いえ、サナさんとバルさんとでお茶会やりたいのでそれまでにやらないとなぁ…と」


「そうか。楽しんでこい」


「はい!」


そうして、少し砦でどんな事があったかなど雑談などをして城を出た。すでに日は落ち暗かった。


「お腹…空きました…」


流石に疲れた…


「もしかするとギライルが作っているかもしれないのじゃ」


「なら急いで戻るか」


「「はい!(なのじゃ)」」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そうして宿に戻ると、レストランの厨房でギライルが何か作っていた。


「帰ったのじゃ」


ギライルはこっちに気がついた。


「お帰りなさい。今ビーフシチュー作っているので」


するとサナが目をキラキラさせて、ギライルの所に行った。


「ビーフシチュー好きなので嬉しいです!」


「そうですか。では美味しく作らないとダメですね」


「いつも美味しくじゃないとダメなのじゃ」


席に着くと、俺はひと段落ついたのかどっと力が抜けた。


「はぁ…色々あったな…」


サナと会い、バル、ギライル、ナギ、そしてルーラなど色々な人に会った。スタンビートや防衛戦など…


「でも、この世界にきて本当に良かった」


とそこにギライルがやってきた。作り終わったようだ。


「できましたよ〜」


「これからどんな出会いがあるのやら…」


俺はビーフシチューを食べながら思った。

ビーフシチューは美味しかった。


_________________________________________

これにて3章は終わりです。

いくつか裏話や人物紹介を挟んで4章に行きたいと思います。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る