第13話 どやぁぁ

僕が夢中でウインドウで箱庭を見ていると、母がやってきた。


「イシュクラフトちゃん、夕方には用意できますからね。後でお引越ししましょ。」


僕としては急にウインドウを通り抜けてニュッと出てきた母に、大分ビビった。

透けてるウインドウ画面から出てくる母の顔。恐怖でしかない。


ピキっと固まった僕の頭に手を添え、デコチューしてくる母。


「イシュクラフトちゃん、ママは寝返りがもう一度見たいわ。頑張ってコロンしてみましょうか」


む。しょうがない。箱庭は後にするか。ふふふ。さあ、母よ篤と見るがいい我が勇姿を。

コロンと転がってドヤ顔のまま頭を上げて腹ばいになる。


「きゃぁぁぁぁ。すごいわイシュクラフトちゃん!!ああ、なんてことこれは絵姿を、絵師に・・・いえ、静止画ではこの可愛らしさは表現しきれないわ。なにか・・・そうね魔法道具を・・・」


母よ、なんかブツブツ言いだしたけど大丈夫か。さて、この格好は疲れるんだ。早くまた仰向けにならなくては

むむっ。やはりここからの仰向けは難しい。よし、頭の重さを利用して進行方向に勢いをつけて


コロン


できたぁぁぁ。ふおおおおお。

達成感ハンパない。


「やだ、待ってイシュクラフトちゃんいつの間に更なる段階に進んでいるの!?決定的瞬間を逃したなんて、メイリーン一生の不覚よ!なんてこと。これからは一瞬も逃せないわ。でもどうしましょう、魔法道具の作成依頼を一刻も早くしなければ・・・」

「奥様、私がそれはお伝えしてきます」

「ああ!そうねサラ、ありがとう。よろしく頼むわ」


乳母のサラが部屋を出ていくと、母が私とベッドに寝転がり僕の頭を撫でながら、ほっぺをプニプニ触り始めた。


「イシュ、貴方はすごいわ。私の愛しい子。今言っても分からないでしょうけど、貴方に魔力が無い訳じゃないの。ただ、私たちより少ないだけ。でも、生まれた時に魔力に翻弄されて高熱を出したからもう少し大きくなるまで封印してるの。封印が利きすぎてしまって、全く魔力が感じられない状態になってしまったけど・・・頑丈に産んであげられなくてごめんなさいね・・・イシュ・・・私のかわいい子・・・すぅ」


おや、寝てしまった。あの生まれてからの1週間は、僕が前世を思い出して熱を出して大変だったと思っていたけど、魔力に翻弄されてたとは知らなかった。

じゃあ、その封印を解けば僕も現実世界で多少魔法が使えるってことか。でも、魔法道具を作った方が早そうな気もする。


―そうですね。おそらく、両親がマスターの封印を解くのは10歳位だと思われます。であれば、今のうちにレベルを上げて魔法道具を作った方が早いと思われます。因みに、また2時間経ちましたので箱庭に行けますが、どうしますか?


もうそんな時間か。勿論イエスだ!



箱庭に入ると、クエストの達成報告が現れた。


クエスト

・種(レベル1)を10個ずつ収穫して納品しよう

達成しました


種各種(レベル2)が開放されました

畑が拡張されました

新しいクエストが追加されます


クエスト

・種(レベル1)を100個ずつ収穫して納品しよう

・種(レベル2)を10個ずつ収穫して納品しよう

・トマトケチャップを調合しよう




お、リョクが頑張ってくれたのか。


「はい。マスターのメッセージ嬉しかったので頑張りました」


そうか。ありがとう。これから調合をするんだけど、ちょっとそっちを手伝ってくれない?


「よろしいんですか?」


人の手が無いと不安だから。僕はまだ赤ちゃんだしね。


「お手伝いさせていただきます!」


調合室へ向かい、魔力水と薬草でまずはポーション作りだ!


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