第51話:9階層

 いよいよ大台の二桁が近づいていた。

 すでに通常のダンジョンでは考えられないほどの特殊なダンジョンになりつつあるカナタダンジョン。


 そこから更に強化をしていくとなると、頭を悩ませるところではあった。




「いっそ、スライムだらけの部屋にしようかな……」




 初めて召喚した魔物であるスライム。



 確かに弱い魔物ではあるけど、それでも愛着のある魔物――。


 だからこそ、無碍にはしたくなかった。




「いっそ、スライムをトコトン強化してみようかな……?」




 ありったけのDPを注ぎ込んで、9階層自体も無駄をなくすことによって、スライム一体とだけ戦えるようにしてみた。





―――――――――――――――――――――

レベル:999 種族:スライム(ランク:S)

HP:15,000/15,000 MP:30/30

筋力:2,500 耐久:1,500 魔力:100 精神:1,500 速度:5,500

スキル:【消化(レベル10)】【物理無効(レベル10)】【魔法無効(レベル10)】【HP自動回復(レベル10)】【消滅魔法(レベル1)】【究極魔法(レベル1)】【ぷにぷに】

経験値:1,000 お金:10,000円

―――――――――――――――――――――




 うん、とんでもない強さになってしまった気がする……。

 物理も魔法も一切効かない最強クラスの魔物ができあがった。

 なんか訳のわからない、レベル表記のないスキルもあるし……。


 まぁ、一対一で戦うならこのくらい必要かな?

 僕のダンジョンをここまで攻略してくれた人なら――。


 でも、こうなってくるとクリア後の報酬に乏しいよね?

 2、3階層なら経験値がおいしいスラ妖精が大量に……。

 4階層なら大量の宝物。


 そういった報酬が5階層以下には全くない。


 うーん、そういった物は10階層に準備しようかな?




 幸いなことに今は比較的DPに余裕がある。

 好きに強化しても問題はない。


 それもこれもこのダンジョンに来てくれた皆のおかげだから――。

 だからこそ、とっておきの仕掛けをしておきたい。




「うーん、どうしようかな……?」




 早々にこの9階層が突破できるとも思えない。

 そもそも、僕にこのスライムを倒す方法はわからない。


 それでも突破してくれた人のためにできること……。


 とっておきの仕掛けをするためにそのまま僕は10階層の準備も始めていた。

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