第41話:エリシャの仕事量
ドラゴンも力押しで倒せることがわかると冒険者たちがどんどんと四階層へと進んでいった。
経験値効率で考えるとはやり二階層、三階層になるのだが、四階層の宝部屋はまた違った魅力を感じる部屋となっている。
「大人気だね。四階層……」
「三階層以下で結構全滅されてますから、宝物で少しでも取り返そうとしているのでしょうね」
「取られたら取り返す! 当然だな!」
遥と秋が二人、頷き合っていた。
この辺りは二人とも冒険者ということもあり、意見が合うのかもしれない。
ただ、最近では宝箱の位置や中に入っている宝物の種類。
更にはデスミミックが出現しやすい位置等、色々と研究されていた。
その対策もあり、少しずつ宝物を持って帰る冒険者の数が増えていた。
ただ、未だに隠し部屋だけは見つかっていない。
そこが唯一の救いでもあった。
最高率の宝を拾って回るルートが確立されているのだから、それ以外の道を通る必要もない、と言うことはよくわかる。
見つからないのは見つからないで、少し寂しい気持ちもあった。
いや、レアアイテムは出すのに必要なDPも結構高いので、見つからないに越したことはないので、なんとも言えない気持ちになっていた。
「さて、それじゃあ、そろそろ次の六階層だけど……」
「そこ、私に作らせてもらえないかしら?」
真っ先に手を挙げてきたのは秋だった。
五階層が遥を作ったことを考えたら、どんどんと任せていっても良いかもしれない。
「はーいはーい、それじゃあ、エリシャはそのつぎのところをやりたーい!」
秋が手を挙げるとエリシャも手を挙げるのは、もはや必然の出来事だろう。
しかし、エリシャは少し心配ではあった。
こうやって、ダンジョンを作る相談に乗ってくれているし、ダンジョンではレベル上げもしている。
更には宿の方も完全にエリシャに任せきりとなっていた。
少し働かせすぎなのでは……と思っていたのに、そこから更にダンジョンを一階層任せることに……。
「あんまり無理をしたらダメだぞ? ここは別に俺がしても良いところだからな?」
「エリシャは仲間はずれなの?」
「い、いや、そういうわけじゃなくて……」
「それならエリシャがやりたいのー!」
エリシャのその言葉に僕は頷かずにはいられなかった。
しかし、みんながそれぞれダンジョンを作り始めた後、僕は遥に伝えていた。
「エリシャ、少し仕事を詰めすぎてるかもしれないから、サポートをお願いしてもいい?」
「そうですね。彼女も何か焦っているのかもしれないですね。わかりました、むりそうならそっとサポートさせていただきますね」
遥が頷いてくれる。
これでいったんは大丈夫だろうけど、エリシャの宿がかなり流行っていることを考えるとそろそろ新しい従業員を雇い入れても良いかもしれない。
ただ、そうなると問題になるのはやはりDPだった――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます