第36話:ダンジョン攻略その2
第一階層のボスであるオークを目にも留まらぬ早さで倒してしまう剣士。
「ふっ、雑魚め」
「出たー! アランの決めぜりふ!」
剣士が格好をつけると、僧侶の男がそれをもてはやしていた。
それを呆れた様子で魔法使いが告げる。
「そんなことより次の階層に行くぞ。先は長いんだからな」
「そうだな。ここで立ち止まってるわけにはいかないな」
再び男たちは侵攻を開始する。
目的はダンジョン最下層。
誰も到達していないその場所を目指して、進んでいく。
◇
二階層ではたくさんの冒険者と出会っていた。
「ちっ、邪魔だな。全てを蹴散らすか?」
「やめておけ、全ての冒険者を敵に回すつもりか?」
「それはそれで問題ないだろう?」
「弱い冒険者なら問題ないが、冒険者組合を敵に回すと厄介だろう?」
「それも蹴散らす!」
「はいはい、もっと現実を考えろ。俺たちだけでたくさんの冒険者を相手にできるはずもない。やるならもっと強くなってからだ!」
「はぁ……、レベル上げか。めんどいな。もっとこう、雑魚を倒したら一気にマックスレベルまで上がるようなチートはないのか?」
「リアルにそんな物があるはずないだろう」
「リアルはクソゲ……」
口を動かしながらも二階層のメイン魔物であるスラ妖精を蹴散らしている冒険者たち。
あっという間に二階層のボス部屋へとたどり着いていた。
「なるほど……、ここが例のSランクモンスターのいるところか」
「――いないけどな」
本当ならここにダイヤスラ妖精がいて、冒険者たちを蹴散らしているはずなのだが、もう討伐された後のようで、その姿は見えなかった。
「ちっ、ここで俺の勇士を見せるチャンスだったのにな」
「はいはい、面倒な敵がいなくてラッキーじゃないか。ダイヤスラ妖精となると運が絡んでくるからな」
「俺が会心を出して、一撃で倒してやる!」
「そういうのも無理だ。ダイヤスラ妖精は弱点がないからな。会心当たりはまずない」
「ぐっ……、今日のところは勝負はお預けだ!」
「もういないからな……」
他の冒険者たちから後ろ指を指されながらも、それを気にすることなく、男たちは三階層へとまっすぐ足を運んでいた。
◇
「よし、今日はここで経験値稼ぎを開始する!」
メタルスラ妖精を見た瞬間に剣士がそう高らかに宣言していた。
そして、ポカッと頭を叩かれていた。
「違うだろ!? 俺たちの目的はダンジョン走破だ!」
「で、でも、これだけ経験値がたくさん転がっているんだぞ? 回収していかないと罰が当たるぞ?」
「当たるか!! 良いから先にいくぞ!」
「お、俺の経験値……」
ずるずるとボス部屋へ引きずられていく。
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