第35話:ダンジョン攻略
「いよいよ俺たちにカナタダンジョン攻略の依頼が来たわけだが、なにか対策はあるか?」
Sランク冒険者の剣士を担当している男が、回りに聞いていた。
このパーティーはオーソドックスに剣士、盾、魔法使い、僧侶の四人メンバーで、全員が男で組まれていた。
シンプルではあるが、それ故に弱点もなく、お手本のようなSランクでもある。
いや、一つだけ弱点はある。
それは――。
「俺はあの遥って子がいいな」
盾使いの強面の男が、奏の配信を見ながらニヤリと微笑んでいた。
「そっか……。俺はエリシャって幼女が好みだな」
僧侶が呟くと盾使いが眉をひそめていた。
「お前、さすがにそれは危険だぞ……」
「好みの問題だろ? 別に襲うわけでもないし」
「……これから戦いに行くのだが?」
「襲ってくるなら仕方ないだろう?」
「全く、お前たちは何もわかってないな。一番女性らしいのは秋だろう? 破壊者と呼ばれていただけあって、強気な性格なんだろうな……」
魔法使いが呆れ顔で言ってくる。
そう、彼らは男だけでメンバーを組んで長いので、女性に飢えていたのだ。
それも猛烈に――。
Sランク冒険者『赤き猛獣』
その名の通り、猛獣たちの集まりだった。
「はぁ……、お前たちはいつもそればっかだな」
剣士が呆れ顔で言ってのける。
「そんなことを言うならお前は誰が良いと思ってるんだよ?」
「もちろん奏ちゃん一択だろう?」
「はぁ?? 相手は男だぞ?」
「そんなこと関係あるか? あの可愛さを前にしたらどうにかなってしまいそうだ」
「――病院でも紹介してやろうか?」
「そこにはお前が行ってこい」
ダンジョンにたどり着く前はそんな話をしてふざけ合っていた彼らも、カナタダンジョンを前にすると気を引き締めていた。
「ここは宿が完備されていたんだな。さすがに泊まらなくてもいいが――」
「えぇぇー、泊まっていこうぜ? ここはエリシャちゃんが管理してるんだよ……」
「さすがに予約で埋まってるだろ!? ほらっ、行くぞ!」
そのままの足でダンジョンの中へと入っていく。
◇◇◇
「なるほどな。洞窟型のダンジョンか。少し薄暗いが、明かりを付けて大丈夫そうか?」
魔物によってはその明かりを目印に襲いかかってくるものもいる。
だからこそ、そういった相手じゃないかを確認することも大事なことだった。
「問題ない。ボス以外でここにいるのは
「ならとっとと下の階層へ行くか。確かにかわいい子に会えると引き受けたが、こんな低ランクダンジョン、本来俺たちが挑むべきダンジョンじゃないんだけどな……」
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