第33話:新たな仲間?
「うぐっ……、この私としたことが……」
ロープで拘束された破壊者が悔しそうに口を噛みしめていた。
「どうして、こんなダンジョンを壊すようなマネをしているの?」
「それは……」
僕の質問に破壊者は悲しそうに答えてくれる。
「初めはみんな、面白がってくれたんだ。一度作り上げたものが壊れる様は――」
「あー、そういえば、初めてのダンジョン破壊は面白い娯楽だと、楽しんで見られてましたね。一度作った物を壊すのは中々楽しい娯楽でした。でも、壊される方の身を考えたら、急に冷めてしまって……。流行も一瞬で廃れていましたね」
「わ、私の中ではまだまだ現役なんですよ!? それに一からレベルを上げ直すこともできないんですからね! 私は破壊者として一生暮らしていくしかないんですよ」
それはそれで悲しい性を背負っている様に思える。
「それに、昔は私もたくさんの視聴者がいたんですよ。みんな楽しがって見に来たので――。それが流行が廃れた瞬間に誰も来なくなったんです。そうなったらもう人気ダンジョンを壊していく以外できることはありませんよね?」
「だから僕のダンジョンに来たんだ……。うん、わかったよ」
「本当ですか!? ならダンジョンを壊させてください!?」
にっこりと微笑んでくる破壊者。
「そ、そういう意味じゃないよ!? 他にもその能力を使えばできることがあるってことだよ!?」
「他にも? そんなことがあるのですか!?」
目を輝かせて、僕の方を見てくる。
「うん、もちろんだよ。その力を使えばDPを使わずに手動でダンジョンを広げることができるよね? それは僕たちダンジョンマスターからしたらとてもありがたい能力なんだよ? だから、ここで僕たちと一緒にダンジョンを作っていかない?」
一番円満に解決する方法を考えるとそういう結論に至っていた。
「ちょ、ちょっと待ってください!? あ、相手は破壊者ですよ!? 本当にいいのですか? いきなり襲ってくるかもしれませんよ?」
遥の心配も最もだった。
でも、それも簡単に解決する方法がある。
「僕と一緒にいるなら配信コラボをしたりとか、色んなこともできると思うよ?」
「わかりました。私で良かったら力になります!」
一瞬で頷いてくれる破壊者。
それを聞いた僕は彼女を捉えていたロープをほどいていた。
「改めて、僕は如月奏だよ。よろしくね」
「私は牧原遥です。奏さんに手を出すと容赦しませんからね」
にっこりと笑顔を見せる遥が怖い。
でも、僕のことを考えて言ってくれているので、何も言わなかった。
「エリシャはエリシャって言うの。よろしくね、大きなお姉ちゃん!」
大きな……。
確かに背丈も他に色々と大きい。
言わんとしていることはわかるのだけど……。
「私は伊月秋です。ダンジョンを壊すなら任せてね!」
こうして、僕たちの仲間がまた一人加わることになった。
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