第31話:スパチャvs.破壊者

「ぐっ、なんで硬いダンジョンなの!? まさかこの私が苦戦させられるなんて……」




 金槌を振りかぶり、何度も同じ場所を叩いてくる秋。

 しかし、そこはすでに破壊不能オブジェクトになっている。


 いくら叩いても壊れないはず。

 でも、遥に言われないと気づかなかった彼女の能力。もっと、注意しないといけないな。



―――――――――――――――――――――

伊月秋いつきあき

レベル:82 性別:女 職業:冒険者(ランク:A)

HP:651/657 MP:24/24

筋力:212 耐久:73 魔力:5 精神:8 速度:25

スキル:【鈍器術(レベル10)】【オブジェクト破壊(レベル10)】【破壊者(レベル10)】【HP消費攻撃(レベル10)】

―――――――――――――――――――――




 恐ろしいくらいに攻撃に特化した能力。

 しかも、破壊者をそのまま名前に冠しているスキルまで持っている。




「本当に恐ろしいね……。早めに教えてもらって助かったよ……」


「本当に早めだったら良かったんですけどね。もうちょっと手遅れでしょうね」




 そう言いながら遥は出かける準備をしていた。




「どこへ行くの?」


「流石にあれは見過ごせませんからね」


「む、無理したらダメだよ!? そ、それなら僕も――」


「あの子の狙いは奏さんですからね。流石に目的である奏さんを連れて行くわけにはいきませんよ」


「うぅぅ……、で、でも……」


「大丈夫ですよ。あなたの守護者はこの程度のことで負けませんから――」




 確かに遥はAランク冒険者。

 そうそう負けるはずがないとは分かっている。

 でも、不安に思ってしまうのは仕方ないことだった。

 なにせ相手は想定もしてない攻撃をしてくる相手。


 いくら遥といえども厳しいかもしれない。

 そう考えると素直にうなづけなかった。




「分かりました。それなら絶対に戦わないと約束してくれるなら一緒に来てもいいで――」

「戦わないよ!」

「早いですよ。せめて言い切ってからにしてください」




 一緒に行けると思うと気がはやってしまった。

 少しだけ反省をすると改めて遥の方を見る。




「僕も一緒に行くよ。確かにまだまだ二人の戦いに割って入れるほど強くはないけど、それでもサポートくらいできるからね」


「それならエリシャも行くよ! 大剣と金槌、どっちが強いか勝負するの!」


「エリシャもついてくるなら見てるだけですよ? 流石に危険な相手ですからね?」


「うん、分かってるよ。そんな相手はエリシャの魔法でボッコボコにしちゃうからね!」


「全然分かってないですね……。エリシャはここでお留守番――」

「エリシャ、遥のお願いを聞けるいい子だよ? 一緒に連れて行って……?」

「また途中で遮って……。でも、そこまで言うのなら仕方ないですね。今日は特別ですよ。流石にダンジョンの奥まで襲ってきそうですから、上の階層で相手をした方が影響は少なそうですからね」




 こうして、僕たちはデストロイと対面すべく、今彼女がいる二階層へと向かっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る