第25話:デスミミック

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レベル:20 種族:デスミミック(ランク:C)

HP:100/100 MP:1,000/1,000

筋力:50 耐久:40 魔力:50 精神:50 速度:100

スキル:【即死魔法(LV:5)】【擬態(LV:5)

経験値:300 お金:10,000円

消費DP:1,000

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 飛び抜けて強いわけではない魔物なのだが、かなりのお金を落とす。

 そして、肝心のスキル。

 即死魔法と言うことは、対策をしていない冒険者なら一撃で倒す可能性があるわけだ。


 しかも、これだけの能力を持っていて消費DPはかなり安い。

 ……いや、そこそこするけど、それでもスラ妖精たちを大量に召喚するよりは安い。


 そして、冒険者の人が飛びついてきそうなほど、大量に持っているお金。

 僕としても、即死魔法で冒険者の人を倒してくれたら、それだけで十分すぎるほどのDPが手に入る。




「うん、これしかないね。ありがとう、エリシャ」


「えへへっ、エリシャ、役に立った?」




 エリシャはうれしそうに聞き返してくる。

 そこで俺は迷うことなく答えていた。




「もちろんだよ。本当に助かったよ」




 エリシャの頭を無意識に撫でていた。

 するとエリシャは一瞬驚きの表情を浮かべつつ、すぐにうれしそうに目を細めていた。




「お兄ちゃん、なんだかお父さんみたいだね」


「お父さん? もしかしてエリシャの?」




 そんな年齢じゃないんだけどな……。



 僕は思わず苦笑をしてしまう。




「うん! 暖かくて優しくて……。だから、エリシャ、お兄ちゃんのこと、大好きだよ!」




 今度はエリシャの方から抱きついてくる。

 さすがに小柄な彼女くらい支えられる……つもりでいたけど、大剣を持ったまま飛びついてくる彼女はさすがに支えきれずに、その場に倒れてしまう。




「いたたっ……、さ、さすがに大剣を持ったままは危ないよ……」


「えへへっ、ごめんなさーい」




 反省した様子を見せずに笑みを浮かべているだけのエリシャ。




「それより、エリシャのお父さんってどんな人だったの?」


「うん、エリシャのお父さんはね、冒険者だったんだ……」




 過去形?



 なんだか嫌な予感が脳裏を過ぎる。

 気軽に聞いてはいけないことを聞いてしまったかもしれない。




「そっか……、ごめんね、言いにくいことを聞いて……」


「そんなことないよ。それでこの大剣もお父さんから譲り受けたんだよ。エリシャがほしがったから……。だから、エリシャの目的はお父さんなんだ!」


「それならもっとレベルを上げて、その武器を使えるようにならないとね」


「うん!!」




 なるほど……、今は亡きお父さんの形見なんだ……。

 エリシャが大剣にこだわるのはそういった理由があったんだ……。


 さすがにそのことを知ってしまうと、これ以上何も言えなかった。




◇◇◇




 エリシャと二人、あーだこーだ言いながら、宝箱を配置していった。

 一応全てを配置し終えた後に、遥に来てもらっておかしいところがないかの確認をしてもらうつもりでいる。


 とりあえず、デスミミックは蓋を開けないと襲ってこないようなので、僕が普通の宝箱と一緒に大量に召喚。

 それを適当にエリシャが運んで行ってくれる。


 四階層入り口の広間にまず、目に留まるようにたくさん置かれている。

 そこまでいるのかと言われたらそれまでだが、この階層に来た人へのインパクトにはなる。


 なにせ、四階層に来てまず目に入るのが宝箱なのだから。

 しかも、一つではなく、そこに9つも置かれている。


 もちろん、その大半がミミックで、本物の宝箱は三つしかない。


 三つもあるだけ破格と言えるかもしれないが。

 しかも中身はレアアイテムたち。

 ただし、こちらも初めだけで後は完全にランダムで、良いものから悪いものまで含まれている。


 これは位置を固定化させずに、毎回取れるものが違うランダム仕様になっている。


 もちろん、魔物の位置もランダムで変わる。

 つまり、宝箱を開けてみないとそれが当たりかどうかわからないようになっていた。


 こうすることで、すみずみまで宝箱を探して貰えることと、デスミミックと当たって即死魔法を喰らう可能性を高めている。


 もし、それで死んでしまったら、手に入れたお宝はそのままダンジョン内に落とすこととなる。


 つまり、どのタイミングで帰るのか……。

 自分との欲の戦いとなる階層でもあった――。

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