第26話:四階層VS遥

 早速できあがった四階層に遥が挑んでいた。

 魔物のレベルで考えると全く苦戦しないであろうレベル。

 しかし、運が悪いと一撃で死ぬこともある魔の階層。


 そして、早速遥はその罠にかかっていた。




「いきなり宝箱を置いてるのですね。中身は一帯何が入ってるのですか?」




 遥が聞いてくるが、当然ながらそれを答えることはしない。

 僕自身もわからない。


 それが今回四階層に採用した【宝物ランダム化】なのだから……。


 迷わずに遥は宝箱を開けて中身を確認していた。すると、中から真っ黒の魔物が現れる。


 あれがデスミミックなのかな?


 僕はモニター越しに魔物の姿を眺めていた。




「み、ミミック!? なるほど……、そういうことですか」




 遥は本を構え、次の瞬間にミミックはその姿を消していた。




「この辺り一帯は宝箱トラップ……ということですか。でも、罠ばっかりだったら、誰も来ないんじゃないですか?」


「大丈夫だよ。ちゃんと普通の宝物もあるよ」


「あっ、本当ですね。でも、普通……というよりかなり中身が良くないですか?」


「最初はこの階層の宝箱を開けてもらうために良いものが入ってるよ」


「あぁ、そういうことですか。期待を煽って、どんどん宝箱を開けてもらうのですね」




 遥も一瞬で察してくれる。

 もしかして、わかりやすすぎたかな?




「でも、デスミミックも冒険者的にはおいしい魔物ですからね。罠とわかっていても宝箱開けに行くかもしれないですね」


「うん、それも狙ってみたんだよ。さすがにいつまでもスラ妖精ばかり使うというわけにはいかないからね」


「分かりました。 それじゃあもう少し先まで進んでみますね」




遥はダンジョンの奥へと進んでいく。

この階層はいつも以上にかなりの迷宮となっている。


やはり宝箱がたくさんあるのでそれを隠している……風にとってもらいたかったからだ。


それにいくつか隠し宝箱も配置している。

こちらの中身は固定で入口よりもいいアイテムが配置されている。


もちろんそれは隠し通路の先にあるし、すぐに見つかるとは思っていない。


そもそも見た目は普通の壁なのに、中へとは入れる……なんて思わないだろう。

あえて、通路内を証明で照らしているのもそのためだ。

そして、少し豪華な感じを出すためにも、この階層の通路は石畳を敷き、土ではなく石の壁を使用している。


すこし重厚感がある石造りの壁がまさか通り抜けできるなんて思わないだろう。

そして、それは遥も同様だった。




「この階層は進みやすくて良いですね……」


「ずっと照明が欲しかったからね」


「でも、今までと雰囲気が変わりすぎてるので、何か怪しく感じてしまいますね」


「そういう見方もできるんだね……」


「そこは仕方ないですね。どこのダンジョンも階層が深くなると同じ事をしていますから。飽きさせないためには必要なことですよね」




そこが常に頭を悩ませているところだもんね。

気を抜くとすぐに飽きられてしまう。


それから更に奥へと進んでいく。

一応今回はおかしいところがないかのチェックなので、宝箱を開けるのはほどほどにしてくれている。




「これ、奥に進みたくなくなる階層ですね」


「長時間滞在と討伐のDP、あとは侵入数のDPが稼げるね」




 侵入のDPはダンジョンへ入った人数だと思っていた。

 でも、それは僕のダンジョンが当時一階層のワンフロアしかなかったからで、実際の侵入数のDPはもっと多かった。


 確かにダンジョンに入った時点で、その人物の数掛ける1のDPが貰える。

 そこはかわらないのだが、問題は他の階層へ行ったときだ。


 二階層なら侵入数掛ける2。

 三階層なら侵入数掛ける3のDPが貰える。


 滞在時間の方も階層が深くなればなるほど、貰えるDP量が増えていそうだ。


 こうなってくると配信よりもダンジョンで稼ぐDPの方が増えてきそうだが、未だに配信DPは馬鹿にならないほどだった。


 未だに過去の配信動画は再生が伸びているし、ライブは常に数万人見に来てくれる。


 スパチャもたくさん投げて貰えるし、安定した収入を得ることができるのはこちらだった。




「そろそろ、ボス部屋だね」


「この階層もSランクの魔物がボスですか?」


「えっと、それだと芸がないかなって思って、ちょっと変えてるんだよ」


「あっ、そうなんですね。それだとすぐに次の階層も作らないとダメそうですね」

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