第4話:収益でダンジョンを強化しよう

 配信を終えた翌日。

 僕は所持DPを眺めてニヤニヤとしていた。


 すでにもらったお金インセンティブはDPへと変換していた。

 その結果、今まで見たこともない三桁ものDPが溜まっていたのだ。




―――――――――――――――――――――

如月奏きさらぎかなた

レベル:1 性別:男 職業:ダンジョンマスター(ランク:F)

HP:10/10 MP:20/20

筋力:1 耐久:1 魔力:3 精神:2 速度:2

スキル:【ダンジョンステータス(レベル:1)】【ダンジョン創造(レベル:1)】【ダンジョン把握(レベル:1)】【初級魔法(レベル:1)】

所持金:501円 所持DP:125

―――――――――――――――――――――




「これだけあったら、色々と出来るよね? まずはダンジョンを広げようかな? それとも強い魔物を置こうかな?」




 まずは上位の魔物ページを開いて眺めていた。

 大体、魔物ランクでその平均消費DPが決まっていた。


 上から

 Sランク:5000DP~

 Aランク:1000DP~

 Bランク:500DP~

 Cランク:100DP~

 Dランク:50DP~

 Eランク:10DP~

 Fランク~10DP


 といった感じに決まっている。


 中には大量に経験値を持ってるDランク級の魔物が1000DPかかったり……と、多少の上下はあったが。




「とりあえず買えるうちに、マスタールームを守ってくれるボスが欲しいね」




 一応冒険者組合の規則で、『マスタールームへの攻撃を禁ずる』というものがあるのだが、荒っぽい冒険者の中には平気でその規約を破ってくる人間もいる。


 だからこそ、いざという時に守ってくれる魔物は必要不可欠だった。




「今買える最強の魔物は……、Cランクのオークか。確かに見た目はインパクトあるけど、僕のダンジョンだと満足に動けないよね?」




―――――――――――――――――――――

レベル:30 種族:オーク(ランク:C)

HP:1000/1000 MP:0/0

筋力:125 耐久:30 魔力:1 精神:1 速度:10

スキル:【怪力(LV:1)】

経験値:2000 お金:500円

―――――――――――――――――――――




 豚面をした巨体の魔物で、その力で全てを壊していくタイプだった。

 鈍い動きも狭いダンジョン内では有効的だった。

 狭すぎると逆に動けなくなるので、そこはダンジョンを広げる必要があったけど。




「でも、100DPか……。弱い魔物を大量に出した方が、今のダンジョンランクだといい気もするけど……」




 どちらにしても強い魔物は生み出しておく必要がある。

 わざわざ遠くから、冒険者に来てもらわないといけないのだから、それなりにダンジョンの体裁を保っておきたい。




「ダンジョンランクを上げて、たくさんの人に認知してもらうのも手なんだけどね」




 冒険者組合が掲げるダンジョン攻略の基準。ダンジョンランク。

 それが高くなればなるほど、高位の冒険者が来てくれるようになる。


 今の僕のダンジョンは最低ランクのF。

 攻略推奨レベルは1。

 レベル5以上だと、行く必要すらないと言われるレベルだった。




「でも、ダンジョンランクを上げる規定がなぁ……」




 Eランクダンジョンへ上がる条件は複数ある。

●ランクE以上の魔物を10体以上配置する。

●魔物の数が100体以上

●冒険者が来た数が1000人以上

●倒した冒険者の数が10人以上

●ダンジョンが5階層以上

●ダンジョンの広さが100㎡以上

●ダンジョンマスターのレベルが10以上




 この中で三つ以上満たした上で、ダンジョン昇格試験に合格すると晴れてEランクダンジョンとして認めて貰える。


 冒険者のランク帯はDランクが一番多いダイヤモンド型になっている。

 FランクとSランクはかなり少なかった。


 僕がこの規定をクリアしようとしたら、冒険者絡みの数字が絶望的なので、魔物の配置数やダンジョンの広さで満たしていくしかない。




 そう考えると多数の魔物配置が必須となってくる。

 でも、弱い魔物を配置したところで、そのあとのダンジョン昇格試験をクリアできないことは目に見えていた。


 昇格試験は実際にFランク冒険者パーティが派遣され、倒しきることができるかを見られるものである。


 Fランクで簡単に攻略できるのなら、それは一つ上のランクとはいえない。




「一つ下のランクで良い魔物はいないのかな……。あっ?」




―――――――――――――――――――――

レベル:20 種族:スラ妖精(ランク:D)

HP:3/3 MP:1000/1000

筋力:5 耐久:2550 魔力:100 精神:100 速度:5110

スキル:【逃げ足(LV:10)】【経験値増(LV:1)】【中級魔法(LV:1)】

経験値:5000 お金:50円

―――――――――――――――――――――




 冒険者たちの中で噂になっている、経験値を運んでくる妖精を見つける。

 羽が生え、小柄な体をした光り輝くスライム。

 もし、倒すことが出来たなら、かなりの経験値を得ることが出来るから……、と乱獲の対象になっている。


 ダンジョンにこの魔物が配置されていると知られたら、冒険者が詰め寄せてくること、間違いなしだった。


 ただ、そのランクに見合わず、召喚DPは100。

 Cランククラス相当のDPが必要になってくる。


 でも、それに見合うだけの冒険者を呼び込んでくれる……と考えると、得をすることが多い魔物でもあった。


 あと、映像的にもオークよりは見栄えが良いはず。




「よし、この魔物にしよう。それなら、ダンジョンの拡張はいつも通りに行えるし、宣伝の効果もしっかりと出るから」




 そう結論づけた僕はスラ妖精を召喚していた。

 ただ、その大きさは本当にビー玉サイズで、目にも留まらぬ速度でダンジョンの中を徘徊しているので、ライブ中に見つけられるか不安に思えてくる。




「と、とりあえず、残りはダンジョンの拡張とスライムの追加かな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る