作家を目指す、とある兄弟の話【文書ロイドシリーズ短編】
春眼 兎吉(はるまなこ ピョンきち)
作家を目指す兄弟の話
「う~ん、コレで『童話』といえんのかぁ?」
「少し怪しいかもしれませんが、もう、時間がありません。
「小学校1年生に理解出来るだろうか? まぁ、自分の主義を『まげる』わけにはいかないんだけどさ」
「当たってくだけろですよ!」
MUST
「この『童話』は、昔私が『書くことが出来なかった物語』を基にしている。『創作』とはなにかを考えるきっかけになってくれれば……」
ヤスフミの
これは、ある『兄弟』が、小説を『書く』という『生き方』に対して、葛藤し、時にはぶつかり合い、乗り越えていく、『おはなし』です。
とある山奥に、物語作りを
もっとも、両親は兄弟が幼い頃に亡くなり、両親から教えてもらった
「いいか、弟よ。『物語を書く』ということは別に自分の中で完結していればいいんだ。ましてや人に見せるモノでも無いし、自分を高める為にある行為の延長線上にしか過ぎないんだよ」
「イヤだよ兄さん! 僕は書いた物語は誰かに見せたくなるし、読んで貰った後にどういう反応するか気になるんだ! 笑ってくれるだろうか? それとも怒るのだろうか? もしかしたら泣いてしまうのかもしれない。 でも楽しんでくれればこれにまさる喜びはない」
弟はなおも食い下がります。
「僕は作った小説を誰か(『読者』)に見て欲しい。同じ物語を創る『仲間』と
「じゃあ、下界に降りて、自分の好きなように書いたらどうだ? 別に私は一人で書けるから問題ないしな」
「あぁ!そーさせて
弟は下界に降り立ち、
「よぉーーおっ!
「どうだっ!
「
「それで、もう、孤独では無いのか?」
「あぁ、そうたぞ! もう、俺は『
「その『仲間』は
「あぁ、そうだな! 兄貴の
変わり果てた弟に兄は強く強く
「以前に『孤独』を恐れるな、と言ったハズだぞ! 孤独を恐れるあまり、他人の評価を気にし、ウケを狙い、認められないことが許せなくなり、挙げ句正気を失い、『仲間』さえも小説の『
「なにイキってんだよ! 兄貴、坊主の説法じゃあ、あるまいし」
弟が心底呆れかえって天を仰いだとき、そこに降臨する者がおりました。
いがみ合う兄弟のもとに『女神』が降臨したのです。
「我は『
女神は兄を褒め称え、対して弟には厳しい視線を向けました。
「
「では……さて……」
ぎゃあぎゃあ騒ぎ立てる弟を無視して、女神は兄に要求します。
「お主の紡いだ
しかし、兄はすげなく言い放ちます。
「お断りします」と。
「あっ! 別に私は女神様に話見せる気ないんで! そもそも私の物語は人に見せるためでなく、自分と向き合い続ける果てなき『
「なにいってんだよ! 兄さん! 女神様に認められるんだぞ! 最高の、いや、究極の『栄誉』じゃ、ねぇ、かぁ! ありえねえ、ありえねぇんだけど!」
あいもかわらず騒ぎ立てる弟の喧噪をバックミュージックに兄のひとりよがりな劇場が展開していました。
「……………………………………………………」
絶句した女神様は一言。
「ありえねぇ」
ニンゲンに絶望したのでした。
そして、『童話』の発表(というより兄役のヤスフミと、弟役のマークと、女神様役兼ナレーションのヤスフミの妻、の即興演劇)が終わり、子どもたちの『評価』が下される。
姉の
「私はパパの創る物語が好きで、いちファンを自称している『から』あえて言わせてもらうわね♪…………………………ないわー!」
めっちゃ溜めて。
「★3つ評価なら★ひとつね。だいたい何よ! ってか全然『童話』になってないし、兄も弟もキモくて、ついて行けないんですけどぉ~♪」
弟の
「これはないよ。父さん。でも僕は姉さんと違って★2つかな。なんか、弟さんに同情してしまって……
「なぁ~ん、でっ、すってぇ~!」
弟につかみかかる姉。
「ちょちょちょちょちょ、痛いよ姉さん! どうしても上から
「ったく! 私よりちょっと言葉を知ってるからって、内心で
「姉さんの
「
「こらっ!
「二人ともどうしてこうも『水と油』なのよ~」
必死に止めるヤスフミと妻。
ヤスフミの投下した
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【完結】文書(ぶんしょ)ロイド文子シリーズ原典『サッカ』 ~飽和(ほうわ)の時代を生きる皆さんへ~ 俺は何が何でも作家になりたい!そう、たとえ人間を《ヤメテ》でもまぁ!!
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作家を目指す、とある兄弟の話【文書ロイドシリーズ短編】 春眼 兎吉(はるまなこ ピョンきち) @harumanako-pyonkichi
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