第575話 指揮官が要るな
マーマンたちが配下となったのは、俺の眷属のモササウルスだった。
モササウルスを神と崇め、俺がその契約者であるから、ある程度の指示には従ってくれているのだ。
そのため、モササウルスの言う事は絶対だが、俺からの指示は徹底されないような所がある。
今回の夜襲抜け駆けも、そういった統制が取れていなかったことが原因だった。
そこらへんを俺ははき違えていた。
そんなマーマンたちだが、命令不服従だからと見捨てるわけにはいかない。
彼らを援護するべく翼竜を飛ばす。
元々中継地は攻略する予定だったのだ。
それが早まっただけ。
そのために用意した空母に翼竜だからな。
翼竜の視覚で状況を見ながら中継地へと飛ぶ。
月明かりがあり、その薄明かりが中継地の様子を詳らかにしていた。
中継地は僅かな見張り以外、寝静まっている。
どうやらマーマンはまだ上陸していないようだ。
沖にやって来た空母も見つかっていない様子だ。
俺たちは空母しか持っていないので、船同士の衝突という危険を考慮する必要はない。
他に船があれば、それは敵船だからだ。
なので、夜間ここにいるぞと他者に示す航行灯を灯す必要が無い。
そんな光で間抜けに居場所を教えてやるつもりもない。
それにより、中継地の見張りからの空母発見が遅れていた。
中継地の様子は、俺たちが制圧した入江とそっくりだった。
指揮所や兵舎、倉庫、そして奴隷を収容する粗末な檻。
違いと言えば、粗末な檻が海中まで繋がっていることだろう。
それはマーマンや人魚たちが一定間隔で海に戻らないとならないからだろう。
檻がそういった立地だったために、捕虜の有無は一目で把握出来た。
前情報通り、マーマンや人魚の捕虜は居なかった。
『翼竜、指揮所と兵舎を火球で攻撃』
俺の命令で2匹の翼竜が火球攻撃を行う。
指揮所と兵舎は現地調達の木材で建てられ巨大な葉で屋根を葺いているため火に弱かった。
大炎上を起こす。
このタイミングで見張りが翼竜に気付く。
夜中に火球を吐いているのだから、そりゃ気付くだろう。
まさか空から攻撃されるとは思っていなかった様子だ。
この世界の人は、魔物の脅威はあっても、組織的な航空攻撃があるとは思っていない。
その危機意識があるのは、俺たちが攻撃したアーケランド正規軍だろう。
籠城の防御兵器であるバリスタを散々翼竜に破壊されたのだ。
ここの見張りが空を意識していなかったのも当然だろう。
『これぐらいで良いだろう』
いきなり兵舎を燃やされて、兵たちが着の身着のままで武器も持たずに飛び出して来る。
あとは上陸したマーマンたちが、彼らを捕虜に……。
しなかったよ。
やつら復讐心で全員殺しやがった。
遠隔ではマーマンに指示も、遺体を闇魔法で
これは困ったぞ。
マーマンを指揮できる存在が必要だわ。
モササウルスをいちいち付けるわけにもいかない。
マーマンの上位に当たる眷属を派遣して、統制しなければならないぞ。
海の将って何がいたかな?
「恒例のたまご召喚するしかないな。
【たまごショップ】カモン!」
そういや、日を跨いでの新規ラインナップは確認できて無かったな。
『特別セール、海棲魔物確率UPキャンペーン実施中!』
出たご都合主義!
絶対に神様が操作してるだろ。
もしかすると、この神様は女神教が崇める女神様なんだよな。
麗の力もあるし、女神様はこっちの味方だよね?
そうなると、偽聖女の天使の力はどこから?
まさか他の神様が教国側にもいるのか?
まあ、ここはご厚意を有難く受け取って、たまごショップだ。
ラインナップは。
『卵の種類と
『ただし、眷属契約必須だよ。放出出来ないからね』
『海棲竜の卵、何が出るかな? 500万G』
『巨大魚の卵、何が出るかな? 150万G』
『海棲哺乳類の卵、何が出るかな? 200万G』
『海棲人類の卵、何が出るかな? 400万G』
海棲竜って、モサさんとかリバイアさんとかだよね?
巨大魚はそのままだし、海棲哺乳類って鯨類とか海獣系だよね?
人化出来なければ空母に乗れないし、海の将としては不適格か。
「となると、ここは海棲人類一択!」
海棲人類が卵から?というお約束は無視だ。
「なに? またたまご買うの?」
そうだった!
ここは寝室。両隣には半裸の嫁。
しかも予算執行に厳しい結衣さんがいたのだ。
たまごショップ使用は嫁の許可制になっている。
つい状況に流されて失念していた。
まずい。非常にまずい。
俺は必死に状況の説明をした。
「ふーん、マーマンが勝手なことをするから、指揮官が欲しいのね?」
「はい」
「必要なのよね?」
「はい」
「もう、しょうがないな」
やった。これで海棲人類の卵が買えたぞ。
あとは卵が孵るまでの時間を……。
頑張りました。
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