第521話 トラブル発生

お知らせ

 修正報告です。

第519話と520話の一部を修正いたしました。

作者のミスです。申し訳ありません。


 アンドレを北の海探索に向かわせた後で、城建築の責任者がアンドレだったことを忘れていたことに気付きました。

さすがに建築スキル持ちのアンドレがいないと城建築が滞るので、北の海探索に向かったのは紗希だったことに変更しました。

既に読み終えた方はすみません、後でアンドレが出てきますが、探索に行ったのは紗希だと頭を切り替えてください。


 重ねて申し訳ありませんでした。

――――――――――――――――――――――――――――――


 街壁工事にトラブルが発生した。

強力な魔物の巣に建設予定地がバッティングしたのだ。

その魔物はランドワーム。

地中に穴を掘り移動し、その口腔内に生え揃った牙でなんでも噛み砕く恐ろしい魔物だ。


「土ゴーレムが食われた!」


 ゴラムからの緊急信号で視覚共有をかけると、街壁を建築中の土ゴーレムが襲われていた。

そのランドワームの大きさは、身長1.5mの土ゴーレムを丸飲み出来るほどだった。

俺のステータス画面から、土ゴーレムの数が減る。


「まずいな。いったい何匹いるんだ?」


 どうやら硬化した街壁とその基礎は崩せないようだ。

だが、その作業中の土ゴーレムが襲われてしまう。


「ゴラム、土ゴーレムたち、街壁の上に退避だ」


 どうやら街壁工事を一時中断せざるを得ないようだ。


「どうしたの?」


 俺の様子に嫁たちが集まって来た。

いま、屋敷のリビングに居るのは結衣、瞳美、麗だけだった。

腐ーちゃんは自室で療養中。

マナ姫は護衛女武者や侍女と一緒に自室にいる。

そしてアンドレは城建築の現場監督をしている。


「街壁でトラブルだ。

ランドワームが出て土ゴーレムが食われた」


「え! 大丈夫なの?」


「俺が行くしかない」


 もし、俺が北の海探索で出掛けていたらどうなっていたことか。

臨機応変な対応が出来ずに被害が拡大していたかもしれない。

裁縫女子が代理を申し出てくれて良かった。


「サダヒサを連れて行くのです」


 マナ姫が階段を降りて来て、そう助言してくれた。

サダヒサは、まだ客分として逗留中なのだ。

さすがに俺の嫁と女性ばかりになってしまった屋敷から出て、離れの別邸で寝起きしていて、この場にはいない。


 そう、マナ姫の護衛が女武者となったことで、屋敷内がうちのメイド含めて女性ばかりになっていたのだ。

青Tたちが住んでいた時と違って、客室に男を住まわすような雰囲気ではなくなってしまっている。

サダヒサなどは冗談で大奥などと言い出す始末だった。


 だが、その護衛女武者がいることで、腐ーちゃんが療養中でも嫁たちの安全が確保されていた。

ありがたいことだ。


「わかった。サダヒサと共に討伐に行って来る。

眷属召喚不二子さん!

留守を頼む。コンコンにラキもな」


 加えてもしものために眷属たちにも護衛をさせる。

眷属を収納出来るようになってから、ゴッドクジラやモドキン、ドラゴンたち危険な眷属など、特にプライベート空間には眷属を出さないようにしていたのだ。

それはキラトやオトコスキーなどの意志がある眷属も同じだ。

戦いに特化した者たちを生活の場にはなるべく出さないようにしていた。


 それで眷属が不幸ならば、俺もそのようなことはしない。

眷属たちは、収納された空間の中で自由に好きなことが出来るらしい。

そうでなく閉じ込めて自由を奪うのならば、収納しっぱなしなど出来るわけがない。


 あ、ラキは結衣の専属護衛なので出っぱなしだ。

ラキが居れば、その周囲の者たちの安全はある程度確保できるからな。

たとえ魔族勇者でも嫁たちに手出しは出来ないはずだ。


 コンコンは念話による連絡要員で常駐している。

護衛の役目は果たせないけど、いざという時の連絡では重宝している。


 ◇


「サダヒサ、いるか?」


「ヒロキ殿であるか? いかがいたした?」


 離れに行くとその玄関をノックした。

すると、サダヒサが寛いだ様子で顔を出した。


「暇そうだな」


 俺がそう言うと、明らかにサダヒサが警戒した。


「湧き点潰しは勘弁してくだされ」


 その顔は真剣だった。

どうやら以前に行った湧き点潰しが心底堪えたらしい。


「今回はランドワーム退治だ」


「ランドワームであるか!

腕がなりもうすな」


 ランドワームと聞いて、警戒していたサダヒサの表情が緩む。

どうやら討伐経験があり、得意としている様子だ。


「ちょっと遠いが走竜は乗れるよな?」


 今回の現場は俺も未踏破の場所だった。

なので疑似転移が使えない。

そのため直接赴く必要があったのだ。


「皇国武者であれば、走竜など嗜みの一つである」


 サダヒサが自信満々に答える。

俺たちは連れ立って厩舎に向かい、走竜を借り出した。

この厩舎は紗希が生き物係として管理しているが、その部下として専属の奴隷たちが生き物の世話をしていた。


 俺は走鳥のクヮアの方が慣れているのだが、道なき道を走破するには走竜の方が良いため、今回は走竜に乗ることになった。

ちなみに、飛竜は全騎出払っている。

リュウヤたちに渡した分と北の海探索で全騎なのだ。

翼竜にぶら下がる方法もあるが、あれはあまり気分の良いものではない。

あとは虫移動なのだが、今回は時間の余裕があるため走竜を選択したのだ。


 ランドワームは縄張りを持ち、そのテリトリー以外では無害だ。

ゴラムたちを退避させたので、これ以上の被害はないはず。

俺たちが到着するまで、現場での動きはないだろう。


 ◇


「あそこだ!」


 俺たちは走竜を駆って街壁の建築現場までやって来た。

その走行する振動により、ランドワームが地中から頭を出す。


「話が違う! あれはジャイアントランドワームである!」


 サダヒサの悲鳴が響く。

後で聞いたところ、サダヒサが想定していたランドワームは口径30cm体長5m程度であり、口径2mではないのだそうだ。


 そして、ランドワーム退治が開始されるのだった。

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