第514話 シューイチ

「カドハチが来るのって、王城に行く曜日になるのか。

そうなると家具の件は風曜日にまた来てもらわないとならないか」


 そう俺が口にした時、嫁たちの不満が爆発した。


「それよ! おかしくない?」


 麗がビシっと俺を指差して言う。


「え? 何が?」


「「「3連泊よ!」」」


 結衣、瞳美、麗の声がハモる。

カドハチにまた来てもらう話じゃないのか!

そっちに不満を抱いていたのか。


 王城で執務する曜日は地水火風木闇光の前半、地水火の3日間。

地曜日の朝に王城に向かい、風曜日の朝に温泉拠点に戻る。

つまり、俺は王城には3連泊しているのだ。


「セシリア1人に3日で、私たち6人で4日っておかしくない?」


 なるほど。麗の言いたいことは良く解かる。

セシリアとは跡取りを早くという理由で3日間毎晩褥を共にしている。

だが、温泉拠点では、結衣、瞳美、麗、さちぽよ、陽菜、マナ姫の6人が4日でローテーションということになる。


「公平性が保たれていない!!!」


 麗が拳をギュッと握って主張する。

確かに。嫁は平等に愛さなければならない。

それがハーレムの絶対条件だ。

セシリアだけが突出しているのは良くないな。


「となると、王城に2人連れて行くってことになるのかな?」


 1週間は7日。7人それぞれ曜日割がベストではないだろうか?

つまり、王城の3日をセシリアと他2人ということにすれば良いのだ。


「人様の家でいたすなんて恥ずかしいです」


 俺が王だといっても、王城なんて他人の家だもんな。

瞳美、俺だって知らない天井には気が引けてるんだぜ。


「王城で乱交は私でも引くわー」


 陽菜! 乱交する気なんてないってば。


「そうよ! 夜に帰って来て、朝王城に行けば良いのよ!

そうすればカドハチとの商談も出来るでしょ?」


 瞳美、それだ!

つまり、王城で執務をした曜日であっても、温泉拠点に戻って来れば良いのだ。

それは俺にとってまさに目から鱗だった。

疑似転移があるので、苦も無く帰って来られるのだから。


「地曜日の朝に王城に行って1泊、みず曜日の夜に温泉拠点に戻る。

そして曜日の朝に王城に行って、その夜に温泉拠点に戻る。

風曜日は朝から温泉拠点で、曜日闇曜日光曜日と温泉拠点で過ごして、地曜日の朝に王城へ、とループするわけか」


「まあ体調で入れ替わりや休みはあるとして、週1は必ず担当になるってことね」


 そんな機械的なもので良いのだろうか?

というか、俺の休みが一生無いぞ?

それに、さちぽよと陽菜なんていつでも乱入して来るじゃないか。


「さすがに毎日必ずってのはキツイぞ。

さちぽよと陽菜の乱入なんて勘弁してくれよ」


「一緒の子が認めたらいーじゃん」

「そうそう、身が持たない子もいるんだからね」

 

 それは戦争とかで昂ぶってるときだけなんだからね?

いつも性獣みたいに言うなよ。


「少なくても公平な機会が与えられるというのが大事なの」

「それを使うも使わないも妻の自由なわけよ」


 まあ、子作りに必死なのは、セシリアとマナ姫だけだからな。

結衣や瞳美なんかは、他の嫁が抱かれているのに張り合ってる感じだしな。

無ければ無いで良い感じはある。


「わかったよ。そこはお任せします」


 俺は嫁ーズに折れた。

義務ではなく、平等に愛することに決めたのだ。

幸い身体は強くなった。

魔王の身体だというから、子供がどうなるか心配だったが、そこは魔族のような人外の身体ではなく人間だった。

魔法への親和性とか、魔力量とかが人間離れしているだけで外観に影響はない。

種族的にはハイヒューマンという感じのようだ。


 つまり、俺の子は人間だ。

そこは良かったと思っている。

今後、妻ーズたちとの間には子が出来るだろう。

その子たちを護って行くのも俺の使命なのだ。


「皇国の護衛女武者には気を付けなさいよ?」

「サダヒサさんには断っといたから」

「あれ、ハニートラップだからね」

「皇国の侍女にも気を付けなさいよ」


 そういやマナ姫は話し合いに参加しなかったな。

なんだか、屋敷の部屋で大奥のように籠ってるけど、大丈夫なんだろうか?

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