第505話 スローライフ再開
週の後半で、温泉拠点の再開発を行なう。
とりあえず行なうのは街道の整備と新たな壁の構築だ。
温泉拠点とエール王国との間の街道を西に繋げる。
北に作った田んぼへの道も安全に配慮して拡張する。
南へと向かうグランディエル農業国に通じる道も、おいおい整備するつもりだ。
今のところ魔の森の南部は未踏破のため、どのような魔物が住んでいるのかも把握出来ていないのだ。
この街道整備はゴロロとゴリキに加え新たに召喚した土ゴーレムに任せる。
予定地を土魔法で街道へと整備してくれるはずだ。
各々危険なので護衛にアロサウルスを付ける。
温泉拠点を街へと拡張するため、新しい壁は開拓予定地を含むように外側にもう1つ壁を巡らせて三重にする。
温泉拠点が堀の内と外に壁がある二重構造のため、その外が三重目となったわけだ。
東は中継地と呼んでいた場所に作った対アーケランドの防衛砦まで。
西は巨大カマキリの生息地である草原までを含む。
南はアーケランドとエール王国間の街道があるため、その手前までとなる。
北は田んぼを含みたかったが、そうなると沼地を内側に入れなければならなくなるため、かなり手前までに抑えた。
沼地の生態系は食材の宝庫なのだが、その食材となる魔物が、人の住む領域の内側では脅威となりすぎるのだ。
そんな危険な魔物との共存は不可能のため、さすがに沼地は壁の外に出すしかなかった。
草原も魔物が脅威ではあるのだが、そこはクモクモの糸でコントロールすることが出来ている。
今も糸の罠で魔物を誘導して簡単に狩れるようにしているのだ。
問題はバッタ人間だが、それは壁で囲った後で駆除するしかない。
壁の構築はゴラム、ゴレーヌ、ゴレッタに土ゴーレムたちに担当してもらう。
今度の壁は街を覆う街壁だ。
高さも厚みも強度も温泉拠点の壁とは段違いだ。
ゴラムたちの土魔法レベルが上がり、石ゴーレムに進化したために作ることが出来るようになった新技能になる。
そのため素材が土から石や岩になっているのだ。
今までが土を硬化した壁だったのが、石や岩で壁を構築しているのだ。
それも巨大な1枚岩を1度に構築していくので、継ぎ目の間隔が広い。
もう1枚の岩との継ぎ目も後から同化していくので、全ての街壁が1枚岩になるのではないだろうか。
「え? ゴレーヌたちの作った城壁とは同化出来ない?」
なるほど、そこだけは明確な継ぎ目が出来るのね。
それはそれで味になるだろう。
継ぎ目もズレないような仕組みが入っているしね。
それはまるで凸型と凹型によるブロックの結合のような感じだ。
この作業はゴラムたち石ゴーレムと、追加の土ゴーレムたちに任せれば、いつか終わることだろう。
で、俺はというと、温泉拠点の屋敷や周辺に手を入れている。
これぞスローライフだ。半分だけだが。
半分王様、半分スローライフ。
元の世界に帰れない以上、これぐらいでないとやってられない。
この温泉拠点の生活は、戦争前とほとんど何も変わっていない。
魔物素材の食材を集め、それを調理して食べる。
牧畜と養鶏、畑に稲作、それを奴隷たちに手伝ってもらっている。
食べるために働き、食べるために狩る。
そんな平和な生活が続くのだ。
そして、産業として
クモクモたちとキャピコの糸、そこから紡がれる繊維による布、それを染色して縫って服までが生産されている。
ちなみに、何かの蝶の幼虫と思われていたキャピコはシャインシルクを出すというイモムシだった。
イモムシはいつか蛹になり蝶に変態してしまうと思っていたのだが、何故か今もイモムシのまま糸を吐いている。
シャインシルクが継続的に手に入るので有難いが、何故なのかはわからない。
この温泉拠点にはまだ発展の余地がある。
それを伸ばしていくのが俺たちの当面の目標だ。
アレックスが何かやらかさないかと不安はあるが、行方不明では対処のしようがない。
アレックスが何処に雲隠れしたのか判らないが、【支配】を使えばわかるようにしてある。
支配された者を解放する術もある。
今はアレックス発見を待つしかないのだ。
その間にやるべきことをやっておく。
それが好きなことならば、こんなに嬉しい事はない。
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ご報告
アンケートにお答えいただいた皆さま、ありがとうございました。
15票全て、100%が書き直しよりも続き重視という結果となりました。
今のところ懸念点は無いというご意見もいただき、内心ホッとしました。
修正点として考えていたのは委員長の性格がらみでした。
委員長が突然頭が悪くなったと書かれてしまい、多少は匂わせておかないと、イベント発生で無理やり変わったととられるんだと感じたわけです。
そこは転校生主観での描写のため、転校生が知り得ない裏の顔は、神の視点でなければ把握出来ないというつもりだったのですが……。
お勧めしないレビューを書かれてしまいましたし、誤解を産むならば修正しようかと思ったわけです。
結論としては、このまま修正なしで続きを書くことにしました。
皆様の応援、ご意見、感謝いたします。
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