第450話 星流、戻る

お知らせ


 すみません。星流の学年を高2としたのは間違いです。

野球部の同級生が高2でプロにスカウトを受け、今進級しているので高3です。

この高2が頭に残っていて間違えました。

449話を訂正しました。


 砦と要塞の位置関係が間違っていました。

443話と447話で南と書いていたのは、全て北でした。

アーケランドと皇国の位置関係で、皇国はアーケランドの北ですので、皇国側へと向かう方角は北ですよね。

443話と447話を訂正しました。

他は正面と後方という書き方だったので大丈夫でした。

――――――――――――――――――――――――――――――


 マグロ丼にがっちり胃袋を掴まれた星流ヒカルは、飼い馴らされたワンコのように従順になった。

そこで、俺たちが星流にしたのは、新たな召喚勇者たちの情報収集だった。


「要塞都市グラジエフに現れた勇者は全員召喚された者か?」


「(召喚されたのは)30人で、いま(残っているのは)10人っす」


 言葉が足りないけど、何となく解った。


「やはり、要塞に現れた20人分は嵩増しか」


「そう(近衛騎士たち)っす」


 居なくなっているのは、ほぼ間違いなく魔族勇者たちだろうけど、残った者たちは彼らの境遇を知っているのだろうか?

それと最初の2人と、温泉拠点に来た10人、そして魔族勇者2に吸収されていた3人の他に5人が所在不明だ。

彼らはどうなっているのだ?


「居なくなった20人は?」


「(最初に)10人、そして10人が消えた(いなくなった)っすね」


 つまり、最初に10人が魔族化され、そこから3人がバーリスモンド侯爵領へと援軍に来たのだろう。

その時に2人倒したが、いったい何人が魔族化に成功していたのか。

2回目の10人でおそらく3人が失敗している。

だから魔族勇者2が3人しか吸収していなかったのだ。

となると、2回目で7人が成功、温泉拠点に10人来たのだから、そのうち3人は1回目の成功者。

つまり不明の5人は1回目の被験者か。

2回目よりも成功していたとは思えないな。

となると5人のうち数人は失敗していると見てよいか。

そこらへんの詳細は……さすがに星流には無理か。


「ちなみに、彼らがどうなったかなんて知らないよね?」


「無理っす」


 やっぱり。

となると、星流が知り得る情報に限定して訊ねるべきだな。

ならば、残る召喚勇者9人の能力や性格を知りたいところだ。

寝返りそうな者がいれば、率先して勧誘しよう。


「星流と一緒の他の9人はどんなやつ?」


「(サッカー)チームの翔ちゃんと翼くんはイケメンっす。

他(野球や格闘技に陸上)は(よく)知らないっす」


 サッカー部が2人いるってことで良いのかな?

1人はU-18代表で有名な中里翔太選手か。


 イケメンって、そんなことが訊きたいんじゃないんだが。

サッカー部以外の情報はもっと絶望そうだな。


 何クラスあるのかわからないけど、サッカー部はサッカー部で、野球部は野球部でクラスを纏めたりしないんだな。

星流のクラスにはサッカー部、野球部、陸上部、柔道部と、様々な部活から生徒を集めていたようだ。

あ、女子だけは居ないので確定か。


「なあ、星流にこれ以上訊いても無駄だろ」


 リュウヤが早々に諦めた。


「だな」


 俺もそう言おうとしていたところだ。


「翔ちゃんたちを助けるのか?」


「ああ、他の20人がヤバい事をされてる気がするからな。

早く助けないと同じ目に遭うかも」


 何がとは言えないが、星流もある程度危険だということは察したようだ。

これでも洗脳が解けて、アレックスのヤバさは身に染みていたのだろう。


「(俺が戻って)連れて来ればよくね?」


 まさか、星流が彼らを連れて来るって言うのか?


「確かに誰かが手引きした方が良さそうだな」

「まさか、星流の洗脳が解けているとは思わないかもな」


 俺とリュウヤは星流の顔をジッと見つめる。


「無理だよな」

「ああ」


 俺とリュウヤの見解は一致した。

どう考えても星流に潜入工作員など無理だ。

ならば、任務を最小限にしてボロが出ないようにするべきだ。


「星流、向こうに頭が良くて話がわかるやついる?」


「翼くんっすね」


 ここはその翼くんに賭けるか。

星流には、このまま戻って手紙を翼くんに渡してもらう。

そして、翼竜の妨害任務でまたこっちに来てもらい、翼くんと手紙のやりとりをするのだ。


 俺は星流にそのような作戦を話して聞かせた。

そして手順を復唱させて確認をした。


「手紙持って戻る」


「そうそう」


「翼くんに渡す」


「うんうん」


「(また)翼竜の邪魔をしに来て」


「うん、まあフリだとバレるかもだからね」


「(翼くんからの)返事を届ける」


「そうそう」


「ご飯食べて」


「ん?」


「手紙を持って戻る」


 まあ良いか。

概ね合ってるからな。

確かにご飯は餌付けで必須だよな。


「それで頼む」


「じゃあ行くぜ!」


 そう言うと星流は仲間のいる要塞都市へと戻って行った。

言葉が足りないから、バレないと思うが……。

心配ではあるな。


 ちなみに、ここに留まっていた時間は墜落して捕まりそうになったけど逃げて来たことにした。

さすがにアレックスも星流の洗脳が解けてるとは思わないだろう。

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