第441話 悪魔と鬼の卵
Side:ヒロキ
正面の守りを固め、後方の包囲網を崩すことが出来たため、この砦での籠城にも、ある程度の目途が立った。
特に
敵を全滅させるだけならば、要塞都市に竜種を放てば良い。
ゴッドクジラかモドキンを使うだけで要塞都市に死を齎す事が可能だ。
だが、彼らアーケランドの兵と民たちは、アレックスに利用されているだけなのだ。
なるべく被害を出さずに攻略したい。
そのためには、アレックスと彼を取り巻く勇者たち――偽勇者含む――を直接叩くしかない。
それは、アレックスたちのいる要塞都市に潜入し戦うということだ。
そうなると、巨大な竜種たちは、明らかに不向きだとわかるだろう。
こちらの砦が攻められて、大平原上で砦を守るのには有効でも、巨大な竜種を都市へと侵入させれば、それは大破壊とイコールとなるのだ。
アレックスと召喚勇者10人、それに近衛騎士あがりの偽勇者20人、それらに対抗するには、人型の魔物が必要となる。
つまり次に欲しいのは、
俺、リュウヤ、赤T、腐ーちゃん、そして義理堅く残っていたサダヒサを加えても10人。
先に何人か削るにしても、ここは戦力を補充する必要がある。
そこで眷属枠4枠を使って、悪魔の卵と鬼の卵を【たまごショップ】で購入することにした。
竜の卵では、人型はレアだと思われるから、次点で高価な悪魔の卵と鬼の卵にしたのだ。
あのラインナップを見る限り、”金額=強さ”だ。
そう期待するしかない。
◇
過程は端折る。
まず孵ったのは悪魔の卵だ。
眷属 デュラハン (魔族・男) ▲ 槍技 刺突 騎馬召喚 魔法耐性 闇魔法 人語理解
特記事項:専用武具防具装備 騎馬を伴う 食おうと思うな
デュラハンといえば、首無し鎧(首は手持ち)ってやつか。
食おうと思うなって、さすがに人型は食おうと思わないだろ。
いや、これって騎馬の方を食うなってことか?
「吾輩の働きに期待するが良い」
まあ、強そうだ。
次も悪魔の卵。
眷属 小悪魔 (ギャル・女) ▲ 罵倒 魅了 お洒落 房中術 人語理解
特記事項:専用防具(ビキニアーマー) 食えるが危ない
なんだこれは?
まさか
いや、この格好、どう見てもこの世界基準のギャルだ。
それに食えるってどういう意味だよ。
「なーに? あたしを食べたいの?♡」
そっちか! 房中術持ちってことは性的にかよ!
とにかく、この子、
いや、違う意味で役に立ちそうだが。
「あー、デュラちゃんじゃん」
どうやらデュラハンとは知り合いらしい。
ギャルがデュラハンの鎧をボコボコ殴っている。
もしかして、デュラハン並みに強い?
次に行こう。
鬼の卵だ。
眷属
特記事項:吸血により配下を増やすことが出来る 食おうと思うな
ああ、やばいの出た。
鬼っていうからオーガとかゴブリンの上位種を想定していたけど、吸血鬼も鬼か。
太陽光耐性を持つ真祖ってことは
弱点の無い究極の吸血鬼ってことだろ。
「お主がマスターか。
面白い魔力を持っておるの。
気に入ったぞ。わらわの夫にしてやろうぞ」
いやいや、嫁を増やしたら怒られるんですが?
ここはスルーしておこう。
次に行こう次へ。
次も鬼の卵。
眷属 |鬼人 (女) ▲ 剣技 金剛化 身体激成 縮地 人語理解
特記事項:専用武具防具あり 魔物毒なし
「主に身も心も捧げよう」
「よ、よろしく」
どうやら武人タイプらしい。
やっとまともなのが出たか。
近衛騎士相手ならば無双できそうだ。
「デュラハンはデュラさん、ギャルはそのままギャル、真祖は……」
「わらわはカミラぞ。カ ミ ラ!」
「名前があったのか。ならばカミラね。
他の3人も名前があるならそっちを尊重するぞ?」
「ありません」
「キャルはキャルだよ?」
「我は
「じゃあデュラさんにキャル(濁点ないだけかよ!)、カミラに沙雪ね。
君たちには召喚勇者あるいは近衛騎士と戦ってもらう。
数が多いから上手く立ち回ってくれ」
「承知」
「おっけー」
「おまかせあれ」
「了解した」
これでアレックスと対峙しても戦えそうだ。
だが、どうやってアレックスの所へ行く?
さすがに【転移結界】ぐらいは張ってあるからな。
俺が飛竜纏で飛んで行って、眷属召喚で呼び寄せるか?
リュウヤたちは翼竜に運ばせればどうにかなるか。
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