第398話 ボタンのかけ違い
お知らせ
第396話で、ヒロキに同行しているはずの陽菜が温泉拠点にいました。
あり得ないので修正しました。
第397話において、侯爵の判断材料が弱いというご指摘をいただきました。
作者の説明不足でした。
侯爵の判断材料として、既存の勇者の存在があることを加筆しました。
侯爵たち地方貴族は、アーケランドの勇者が2人にまで減っていることを知りません。
それにより判断を誤る描写を加えました。
最近ミスが多くてすみません。
――――――――――――――――――――――――――――――
「なんで?」
使者から俺たちはバーリスモンド侯爵が話合いを拒否したとの知らせを受けた。
使者の話によると、アレックスが勇者召喚をしたらしいと聞いた後で、バーリスモンド侯爵の態度が変わったそうだ。
まさか、俺たちと本格的に交渉する前に、話合いの実現さえも蹴られるとは思ってもいなかった。
「そこまで
そう、侯爵家と俺はトラブルとなり、殺し合いになっていたのだ。
そこで俺はメルヴィン現侯爵の父親のゴドウィン前侯爵を討つことになった。
ついでに叔父のユルゲンと甥のジャスパーも死んでいたか。
「もしかすると、親の復讐をしない無能と貴族連中から蔑まれたことが、悪い方に出たのかもしれませんね」
モーリス隊長が、あの後に侯爵家に起きた事を教えてくれた。
貴族の面子というやつか。面倒なことだ。
それにしても、勇者召喚の話を聞いて態度を変えたということは、まさかその勇者たちの援軍に期待しているのだろうか?
あんなヒヨッコ、数が居ても育てるのに時間がかかるぞ。
何か見落としていることがあるのか?
たとえば、初めから強い種族を召喚出来るとか?
いや、侯爵はそれを知る立場にない。
事実、勇者召喚が行なわれたことすら知らなかったのだから。
となると……。
「もしかして、
「青の勇者様が倒され、赤の勇者様が
モーリス隊長が怪訝な顔で答える。
「それだけか?」
「それだけではないのですか?」
やはりそうか!
そこで侯爵は読み違えたんだ。
侯爵は、俺たちと同期の召喚勇者が、まだ
それに新たな勇者が加わるならば、勝てると判断したのかもしれない。
「
「初耳です! そんなことがあったのですか?」
やっぱりアレックスは
「おそらく、今の
「なんですって!」
先の戦いで
アレックスめ。自らの失態を隠すために
となると、それよりももっと重大なことを知らないのかもしれない。
一部メンバーは死んだと思われてるだろうしな。
「俺たち側に
「赤の勇者様以外に?」
「そこのリュウヤと陽菜は、元アーケランド勇者だ。
それに、あの赤い鎧がその赤の勇者だ」
俺は近くに居たリュウヤと陽菜を指差し、次に離れた位置にいる目立つ赤鎧の赤Tを指差した。
「まさか、勇者に匹敵する皇国の強者とは別に本物の勇者様たちがいたとは……」
どうやらオールドリッチ伯爵は、
元アーケランド勇者は数に入っていなかったとはな……。
俺の力を過大評価していないか?
「
「ほとんどの地方領主とその配下は知らないでしょう」
モーリス隊長も、リュウヤたちと接しているにも関わらず、彼らが元アーケランド勇者だとは気付かなかったしな。
赤Tが赤の勇者だとも思っていなかった。
あんなに目立つ赤い鎧を着ていてもだ。
先の
「なるほど。バーリスモンド侯爵が判断を誤った理由がわかったよ。
俺たち側に勇者が何人もいる事を知らず、それが味方の戦力だと思っていたのだな」
その居ない勇者たちと共に防衛戦を凌ぎ、新しく召喚した勇者たちの数で押し返す。
魔王アレックスの下であっても、勝てばよい。
それこそ負ければ魔王どうこう言っていられないのだ。
「もう一度使者を出せるか?
我が方には棍の勇者ジャスティンや赤の勇者など複数の勇者がいて、
「それをどうやって侯爵に信じさせるのじゃ?
勇者の顔も知らぬのであろう?」
赤Tもリュウヤもアーケランド正規軍と行動を共にしていた。
陽菜に至っては、【転移】を使って誰にも知られずに行動していた。
侯爵家に派遣されていた青Tならばいざ知らず、他の勇者の顔は知られていないため偽者と思われるのが落ちか。
「証明するには、勇者の力を見せるしかないが……。
これぞ勇者という技はあるか?」
俺がリュウヤたちの方を見ると、全員が目を逸らした。
陽菜の【転移】は勇者ならではだか、それも外部には秘密だったらしいからな。
「
それは俺の魔法、メテオストライクだが、あれは
俺が使うと、いろいろ面倒に……。
この期に及んでは、そんなの関係ないか。
いや、だめだ。
意固地になられて、領民を道連れにされたら、あれは俺の心情的に撃てないだろう。
領民を巻き添えにして大量虐殺してしまったら、俺は罪悪感で闇落ち決定なのだ。
デモンストレーションでも軽く環境破壊だしな。
「あれは
俺はそのような事態を回避するために惚け続ける事にした。
「ならば、侯爵領攻めで勇者の武を示し、降伏を迫れば良いであろう」
「いや、果たして侯爵が降伏するかな?
侯爵には皇国との因縁があるんだろう?。
皇国に下れば命は無いと思うかもしれないぞ」
「その時はその時、仕方ないであろう?」
どうしてこうなったのだ。
メルヴィン=バーリスモンド侯爵は、穏健派だと思っていたのだがな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。