第350話 ミニスカ救出作戦3
クロエの転移は、行ったことのある場所と見えている場所に行くことが出来た。
そして1回の人数と1回の距離、次までのクールタイムという制限があった。
人数はレベルの数値、つまり30人まで、1回の距離は王都までだと5回の転移を要する。
クールタイムは2時間だ。
「この人数だと10時間で王都まで行けるということか」
「うーん、アーケランドの洗脳のせいか、転移ポイントの記憶が曖昧にされてるのよね。
王城の中なんて一切覚えが無いわ」
どうやら、クロエが敵の手に落ちた時に、ピンポイントで王城内に侵入させないためのトラップが仕掛けられていたようだ。
「それでも有難い。
王都には俺も行ったことがないから眷属を使った転移も出来なかったからな」
俺たちは制服や鎧を隠すためにローブで身を包んでいるが、流石に目立ちすぎる。
王都に侵入するにも、正面から行くわけにはいかない。
なるべく、転移により侵入することが望ましい。
いざとなれば、飛竜や虫飛行で突入だな。
「じゃあ、1回目の転移行くよ」
俺たちはクロエの転移で順調に王都へと接近していった。
◇
「あれが王都か」
王都から少し離れた丘の上に俺たちは転移していた。
その俺たちの目の前には、要塞都市と呼ぶに相応しい、堅牢な城壁で守られた都の情景が広がっていた。
まあ、ほとんどが城塞の外に造られた街並みなのだが。
どうやら、外壁の建設中にも王都が拡大したため、建設計画が変更されつつ、未だに工事が終わっていないという感じだろうか。
だが、俺たちが侵入を計画している王城だけは堅牢な城壁が完成しているようだ。
「クロエ、この丘から目視できる場所ならば転移が可能か?」
「だめね。
認識疎外がかかっているみたいにポイントが曖昧になる」
どうやらクロエの転移では中には入れないようだ。
「おかしいわ。以前は問題なく転移出来たのに」
王都の防衛システム的なものの影響だろうか?
何らかの方法で、クロエが
「さて、どうやって侵入する?」
「夜陰に紛れてというのが常套手段だが……」
「俺たちには、いやミニスカとロンゲには時間がないか」
「【探知】」
俺はロンゲの存在を【探知】で探ってみた。
ロンゲなら面識があるので探せると思ったのだ。
だが、その結果は、何かに探知が疎外されたというものだった。
「だめか。探知も効かなくなっているな」
ここで転移での侵入は断念せざるを得なかった。
中に入って、そこへと連れて来る以外にないかもしれない。
それならば自分という強固な転移ポイントを構築できるだろう。
「外で騒ぎを起こし、その隙に内部に侵入するか」
リュウヤにパツキン、さちぽよ、クロエは
王都の城門を突破出来ないだろう。
だが、俺たちならば、冒険者として侵入出来るかもしれない。
幸い、俺たち――俺、ベルばらコンビ、腐ーちゃんの――4人は
ベルばらコンビもカドハチに登録してもらっていて良かったよ。
「ここでストックしていたたまご召喚の卵を2つ使ってしまうか」
虫卵Lv.4とカエル卵Lv.3でいいか。
外で災害級魔物が暴れれば、王都から騎士が討伐に向かうだろう。
その混乱に乗じて冒険者ギルドに向かうとでも言えば簡単に通してもらえるはずだ。
「俺たちはどうする?」
「リュウヤたちは、そうだな。
眷属召喚不二子さん、コンコン!」
眷属召喚により魔法陣から不二子さんとコンコンが現れる。
「この2人に抱き着いていてくれれば、後で一緒に遠隔召喚する」
「それで行こう」
なぜか嬉しそうなパツキン。
「不二子さんに抱き着くのは私たちだからね?」
セクハラ防止でさちぽよが先手を打つ。
コンコンならばパツキンもリュウヤも欲情しないで済むだろう。
「「そんな……」」
まあ2人は無視して作戦開始と行くか。
「よし、ちょっと魔物卵を配置してくる」
そう言うと俺は王都北門側から、王都の西門側に虫卵Lv.4を、南門側へと移動して、そこにカエル卵Lv.3を配置した。
「戻ったぞ。今から10分程度で1つ目が西門側で孵る」
キキキキキキ
西門で魔物卵が孵った。
ランダムで出て来た虫魔物はジャイアントセンチピード、巨大ムカデだった。
10分間の沈静タイムの後、そのまま眷属としなければ暴れ出すだろう。
グゲグゲグゲ
南門でも魔物卵が孵った。
こちらもランダムで出たカエル魔物はジャンアントポイズンフロッグ、巨大毒蛙だ。
「放出」
沈静タイム中でも、放出すれば沈静タイムをキャンセルできる。
これにより2大巨大魔物が西と南から同時に王都を襲うこととなった。
「よし、俺たち4人は北門から王都に入る。
上手く侵入出来たら不二子さんとコンコンに念話を送る。
そこから遠隔召喚で王都の中に迎え入れる」
「「「「わかった」」(わ)」」
さあ王都に侵入するぞ。
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