第341話 アーケランド軍動く2
Side:
「どうして撤退しない?」
俺は目の前に布陣する
後方の輜重隊を叩き、近場からの補給路を絶った。
その状態でこの場に留まれば、過酷な攻城戦と飢えから多大な犠牲が出る。
賢明な指揮官ならば、そう理解できると思っていた。
「どうやら
金属バットも苦々しい表情で吐き捨てる。
「だが、サンボーならばもっと奇策に走ると思うのだが?」
奴ならば、道の砦の時のように、俺を暗黒面に引きずり込む目的で、俺に
だが、今回だけは、それはさすがに無いはずだ。
俺が
それに
正攻法過ぎて明らかにサンボーとはやり口が違う。
「指揮官が交代したか?」
「正攻法と言えばそうだとも言えるが、堅実派のサンボーならば、補給の途絶は無視出来ないはずだ。
それに
「
「まあ、
それはまだ
いや、疑いは持ってはいたな」
となると、
いや、それならばパシリとクロエを撃退した俺たち温泉拠点の方を放置するわけがないか。
何かがおかしい。
もしや、4人もの勇者を失ったという報告はサンボー自身の保身から出来ず、間違った情報が流されているのではないか?
「もしかすると、サンボーが保身で虚偽の報告をあげているのかもしれない。
援軍が来たタイミングで、その虚偽報告が発覚して更迭されたか?」
「あり得るな」
「それと、どこかから情報が洩れているのか。
「ロンゲが倒された原因を
そのせいで俺とアマコーが派遣されたのだ。
俺の所にはロンゲは竜人にやられたという話が来ていたな。
サンボーは竜人が
竜人はおまえだったのにな」
金属バットは竜人姿の俺が温泉拠点へと転移するところを見ている。
それがロンゲが語ったという話と繋がったわけだ。
少なくとも召喚勇者上位の実力を持つロンゲを倒せる戦力が
そうそう、ロンゲのやつは再起不能な状態らしい。
復活させるには、おそらくエリクサーか
「それで直ぐに金属バットとアマコーがやって来たのか」
「あの時の俺は
そして、
それは複数の勇者で
2箇所を攻撃して、竜人のいない方を殲滅するという作戦だな」
「確かに危ないところだった。
それがサンボーの恐ろしさだな」
「今回の総攻撃、やはりサンボーのカラーが見えない。
そして虚偽報告は増援が来た時点で発覚する」
「それで
「サンボーはこちら側に来たかったのかもしれない。
その現れが
その目論見が増援で来た勇者のために失敗した。
サンボーは更迭された、いや殺されたかもしれない」
「なんだって!」
金属バットは
その分析は納得のいくものだった。
まさか、あの攻撃が亡命のサインだったとは……。
オトコスキーから齎される負の波動で、俺を暗黒面に落すつもりだと思ったわ。
「となると、この攻撃は食糧難に陥っての自暴自棄か」
「いや、逆に人の命を顧みない恐ろしい相手かもしれないぞ」
食料も無く、勝たねば死ぬだけと死兵となれば
だが、そこには人の命を顧みない非情さがある。
サンボーもそうだったが、もしそれが同級生だとしたら相容れない存在な気がする。
無力化して再洗脳したら、はい仲間とは出来ないかもしれない。
「説得は無理そうだな」
「ああ、赤Tたちに攻撃命令を出そう。
幸いこちら側が籠城戦だ。
「そういや、1万対4千だったな」
「俺たちが活躍しないと負けるな」
むしろ温泉拠点がスルーされているから、クロエの転移で援軍が呼べる。
それが同級生という召喚勇者の援軍ならば、勝ち目はあるだろう。
いざとなれば眷属を呼ぶが、それは同級生たちの命に関わるような本当の最後の手段だ。
俺が強力な魔物を使役していることが
そうなれば
「勝てそうか?」
「勝つさ。さゆゆの仇をとらないとな」
そうだった。金属バットには
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