第322話 癒しが必要だった
モドキン纏を解いた俺は屋敷の前の司令部に戻った。
眷属纏には大分馴れたと思っていたのだが、さすがに今回はキツかったようだ。
ぶり返しとでもいうか、眷属纏のクールタイムで大幅な行動制限がかかった。
それと自滅とはいえパシリを殺した闇落ちポイントが加算された気がする。
「結衣、麗、癒しを……」
まだパシリの部下が残っているというのに、俺は結衣と麗に癒しを求めた。
ぐったりしている俺に、二人も困惑しつつも抱きしめてくれる。
「あらあら、大変。
そんなんじゃ駄目よ。
さあ、ベッドまで運ぶわよ!」
不二子さんが前線から帰って来た。
温泉拠点の危機を知って戻って来たのだが、どうやら余剰戦力となってしまったようだ。
俺が居れば眷属召喚でもっと早く呼び戻せたのに、これならば前線で
そんな事を考えながら俺は不二子さんにお姫様抱っこされて自室に運ばれる。
「裁縫女子ここの守りを頼む。
キラト、敵2千の迎撃を頼む……」
結衣と麗もついて来るため、温泉拠点の防衛を裁縫女子に任せる。
キラトにもゴブリン軍団で
「負傷者はコンコンが治せ」
一緒に来ようとしたコンコンは治療役として残す。
「えー、皆ずるーい」
何がずるいのかわからんが、コンコンが来てもやることないだろ。
◇
お姫様抱っこされた俺は、自室のベッドに連れて来られた。
結衣と麗が添い寝してくれて抱き着いてくれた。
ああ、癒される。
「随分無理をしたようね。
二人とも、そんなんじゃだめよ?」
そう言うと、不二子さんが服を脱ぎ出した。
結衣と麗の二人にも脱ぐように促す。
ああ、そういうことか。
俺の闇落ち具合は、抱き着き程度では癒せないレベルだったようだ。
戦闘後の高ぶりが俺の一部だけは元気にしている。
いや、戦闘後の高ぶりというより、これが闇落ちの副作用なのかもしれない。
動けない俺に懸命に奉仕してくれる嫁たちに感謝しかない。
一人余計な人が混ざっていたが……。
◇
結衣と麗、不二子さんに癒された俺は、ベッドの上から戦況の把握に務めた。
眷属と念話に視覚共有をして、報告を受けたり現状視察をしたのだ。
『GK、状況は?』
GKからは悔しそうなイメージが齎された。
どうやら敵の移動速度が早すぎて思ったような戦果を上げられなかったようだ。
GKの配下は行軍中の兵を隠れて攫って徐々に人数を減らすというような事を行っている。
それが騎獣や竜車などを使った高速移動で突破されてしまったのだ。
『キラト、不可侵領域の防衛は?』
『東の道正面は、わがゴブリン隊で充分抑えられています。
ただし人数が多く、迂回しようとしている部隊が存在しています』
キラトのゴブリン隊500の正面に
その後ろからも1000の部隊が到達したが、さすがに展開しきれずに遊軍と化してしまっていた。
その部隊が迂回しようとしているようだ。
『キラト、援軍を送り込む』
T-REX、オケラ、翼竜を遠隔召喚で送り込む。
温泉拠点の防衛にも戦力を残さなければならないので、ギリギリの援軍だ。
大軍に対してはモドキンが有効だが、味方をも巻き込む諸刃の剣だ。
混戦状況では使えない。
「そういえば、ガングロ「クロエちゃんね」」
「ああ、クロエに言って軍を撤退させることは出来ないのかな?」
ガングロは、白くなったためガングロと呼ばれるのが嫌になったそうだ。
そのため洗礼名であるクロエと呼ぶように言われているんだそうだ。
俺はクロエが命じれば、
俺の要請でクロエが呼ばれた。
「なんですの? まさか
結衣も麗も既に服を着ているのだが、クロエにあらぬ疑いをかけられた。
なんだ? 匂いか? さっき【クリーン】かけたよな?
「そんなつもりはない。
訊きたいことがあっただけだ」
だが、クロエはジト目で睨むと視線を俺の後ろに向けた。
なんでだ? そう思ってクロエの視線を辿ると……。
不二子さんがおっぱい丸出しだった。
「なんだよ! その不自然な胸出し!
誤解されるからやめろ!」
不二子さんはあくまでも房中術による補助しかしていない。
なのに、如何にも事後という雰囲気を出している。
何がしたいのかわからん。
「
「知ってる。だからそのつもりは無い!」
まあ、赤Tは
俺が
「嫁が複数いると伺ってますが、どうなんでしょうか?」
クロエは俺を性獣かのような眼で見ているが、ここは無視して本題に入るしかない。
「呼んだのは、
「
「そうか。誰が指揮しているかわかるか?」
「あの軍は、サンボーの命令で動いているはずですわ」
「サンボーが来ているのか?」
「いいえ、サンボーは国境砦にいるはずですわ」
つまり、サンボーの命令を受けて現場指揮官が指揮しているということか。
そうなると、誰が撤退命令を出すんだ?
パシリは死んだし、クロエは指揮権が無い。
これって、全滅するまで退かないパターンか?
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