第308話 さちぽよの男
お知らせ
さちぽよとの話が終わらないうちに次の展開に行ってしまったのは不自然かと思い、第307話冒頭を加筆しました。
すっきりしない展開かと思いますが気になる方はご一読を。
「戻ってまで読むか!」という方のためにあらすじを。
さちぽよの攻撃で転校生はすっきりした。
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異世界召喚されて、誰からも居ないものとして扱われる酷い状況から、女子たちと共同生活を始めて、やっと仲間と思うことが出来る、いや愛する奥さんにまでなっていた。
ヤンキーたちとは嫌な思い出しかないが、それでも顔を知っている者もいるし、女子たちとの生活の中で話題にも昇ることがあり、同級生だという意識は確かな物となっていた。
その関係は希薄かもしれないが、敵と割り切って簡単に殺せるような相手ではない。
少なくとも嫁の知り合いや仲間の友人という関係性は存在するのだ。
俺は既に千人近い人の死に関わっている。
それでも殺人には忌避感があり、それが浅い関係の知り合いであっても、躊躇してしまうものだ。
「さちぽよ、金属バットとアマコーを相手に戦える?」
それはさちぽよにも言えることだ。
むしろさちぽよの方が関係性が深いのだ。
「殺せるかってことなら無理かなー。
マブダチじゃないけどー、そこそこ深い関係っしょ?
まあ、殺しに来たなら仕方ないかなー」
「洗脳のせいでも?」
「あー、それは嫌だなー」
そうだよな。彼らと関係の浅い俺よりも、さちぽよの方が覚悟がいるよな。
そういや、ヤンキーチームはパシリ以外全員がカップルになっているって話があったな。
さちぽよは誰の恋人なんだろうか?
えー、さっきのって不倫になっちゃうのか?
それはまずい。一夫多妻で結衣たちが許しても世間様が、いや俺のポリシーが許してくれない。
「ちょっとプライベートな込み入った話を訊いても?」
「なになに、さちに興味持った?」
うわー、訊きにくい。
ここで恋人が居たのかなんて訊けないだろ。
地雷を踏まないように慎重に言葉を選ばないと。
「パシリが
「あー、マドンナレイプ未遂事件ね」
オブラート!
せっかく濁して言ったのに、直球かよ!
「そう、そこでパシリだけ余ったから事件に至ったって話があったでしょ?」
「あー、そーゆーこと?
ムフフ、さちの過去の男が気になるんだ?」
さちぽよ、何嬉しそうにしているんだ?
だが、その過去の男と遭遇したら、さちぽよだってどう動くかわからない。
そこはきちんと把握しておかないと。
「さちぽよだって、戦いたくはないだろ?
その時は俺が前に出るから」
金属バットがさゆゆと付き合っているという話は聞いている。
パシリはあぶれたという話だから誰の恋人でもない。
では、さちぽよは誰と付き合っていた?
そして、そいつが出て来たらどう動く?
「あれは、この世界に来て帰れないならどうするって話が出てさ。
男8人女7人で中には付き合ってるカップルも居てさ。
この中でカップルになるしかないよなってなって。
安心して。それで適当に割り振っただけの関係だよ?」
何を安心しろって?
ちょっと違う方向に話が進んでないか?
まるで俺がさちぽよの過去の男に嫉妬しているかのようだ。
いや、これで不倫ではなくなるのか。
それはそれで安心だったわ。
「その割り振られた相手は?」
「気になるんだー、嬉しい♡。
さちはー好きでもなんでもないんだけどー、サンボーが相手になってさー。
でも余っただけでーさちはサンボーなんて
今はヒロキだけなんだからね♡
だから同級生男子相手なら戦えるよ」
いや、さちぽよに興味津々で訊きたかったんじゃないんだからね?
何だろう、言葉で外堀埋められてる?
女の子に右手で処理してもらっちゃたし、このままじゃ良くないよね。
それとさすがにさちぽよも同級生女子相手に戦うのはキツイか。
「同級生女子相手に戦うのは無理だよね。
そこは俺が前にでるから」
だが、さちぽよと仲の良い女子を殺すというのもどうか?
ロンゲのように自らの意志で敵対するならまだしも、やはり洗脳し直して助ける方向かな。
「でもアマコーは別かなー。
レディースの総長だしー、ギャルとはジャンルが違うっしょ?」
アマコーなら戦えるのかよ。
つまり、他の女子とは戦えないということだろう。
覚えておこう。
「さちぽよは相手の戦闘力を無効化するだけで良いよ。
手足の1本ぐらい切り落としても
俺が彼らを洗脳し直してみる。
だけど、殺されそうなら躊躇するな。
さちぽよの命の方が大事だ」
洗脳を使うには相手の身体に触れる必要がある。
そのためには相手の戦闘力を奪わなければならないのだ。
「嬉しい。さちのことが大事だって言ってくれた♡」
いや、ちょっと違うんだけど……。
まあ、さちぽよが嬉しいなら良いか。
こうして俺とさちぽよは金属バットとアマコーと接敵するために飛竜を急がせるのだった。
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