第280話 眷属チームを編成する5

ビシッ! ベキベキベキ


 ついに最後の一つ、悪魔の卵が孵る。

たまご召喚で卵から孵った魔物は、眷属化か放出かを決めるため、5分ほどの仮支配時間が設けられる。

危険な魔物の場合、その間に眷属化して従わせたり、放出命令で安全な所まで移動させるのだ。


 悪魔系は見た目も大事なので、能力が伴わずに見た目がグロかったら放出となる可能性があった。

温泉拠点は女子が多いので、見た目でNGということはままあるのだ。

例えば巨大ムカデとか、あれだけ強そうでも気持ち悪いと放出となった。

GKも俺の一存で密かに眷属にしたけれども、女子の拒絶反応が激しく、危うく放出させられるところだったのだ。


 なので悪魔は慎重にならざるを得なかった。

さて、どんなやつが孵るのか?


「ん? 肌色の塊に、黒くて矢印みたいなのは尻尾か?」


 どうやら膝を抱えて俯せに丸まっている態勢のようだ。


「赤い髪の頭から角? つまり肌色は背中とお尻か!」


 ちょうど俺の目の前に頭がある感じか。

黒くて矢印みたいな尻尾はその先のお尻の根元から出ているようだ。


「ちょっと待て、また裸か!」


 そのウエストのクビレ方、女性型の悪魔か!

つまり丸まっているあの先はお尻丸出しではないか!

危なかった。これ位置が逆だったら大変なことになっていた。

頭がこっち側で良かったよ。


 だが、危機は去っていなかった。

その悪魔女性が、抱えていた膝を離し、ゆっくりと上半身を上げて起き上がろうとしている。

一難去ってまた一難だ。

このまま立たれると全裸の前側が俺の方に丸見えだ。


「バスタオル!」


 俺の命令に、すかさずメイドがバスタオルを渡して来る。

俺はそのバスタオルを右手に受け取ると、そのまま悪魔女性に投げるように渡す。

バスタオルは綺麗に空を舞い、悪魔女性の豊満な胸にかかり、そのまま縦に広がった。

なんという偶然。何が引っかかったのかわからないが、バスタオルは胸から下を綺麗に隠した。

 

 そして連携プレイのように、結衣がバスローブを肩からかける。

ハラリとバスタオルが落ちる頃にはバスローブの前が閉じられていた。

いや、片脚が太腿の根元からはだけてるけどね。


 俺はその場で呆然としてしまっていた。

なんでわざわざ全裸で出て来る?

キラーゴブリンは装備一式を持って出て来たんだぞ?

どうしてコンコンやこのお姉さんは全裸で出て来るんだよ。


 はっ! まさかこのお姉さんもあっち系のスペシャリストか?

と思考を巡らしているうちに、時間が経ちすぎたようだ。

仮支配のタイムリミットが近い。


「魔法は使えそうだから眷属化だ!」


 俺はエッチな悪魔のお姉さんを眷属にした。

彼女は赤い髪に赤い目、肌はちょっと自黒だが、スタイル抜群のようだ。

片脚は太腿の付け根から丸出し、バスローブの胸部が胸の谷間から半分隠しきれずに盛り上がっている。

まさかと思うけど……。


 俺は眷属にした悪魔女性のステータスを見た。


眷属 サキュバス ▲ 夢想術 幻術 変化 全魔法 房中術


「やっぱりそっち系か!」


 いや、スキル増加券で付いたのが最後の房中術だろう。

あのスキル増加券が余計な仕事をして種族にまで影響したのかもしれない。

まあ全魔法が使える魔法職ならば、エッチなお姉さんでも良しとしよう。


「あなたがご主人様?」


 やはり人型だから喋れるか。

悪魔語だったらどうしようかと思ってたよ。

そしてお姉さんは俺に近付くと、思いっきりハグをして来た。

背が高いので、胸の谷間が俺の顔にジャストヒットだ。

俺の顔は完全に胸の谷間に埋もれている。

それがハグに力が入る度に横から圧がかかる。

これが伝説のパフパフというやつだろう。


「あー、ダメーーー!!」


 結衣が俺からお姉さんを引き剥がそうとするが、お姉さんの力はさすが悪魔――というか魔族か――なので尋常ではない力で剥がすことが出来なかった。


「これは! 魔王様であらせられましたか!」


 どうやらお姉さんが俺のステータスか何かを読み取ったようだ。

彼女はそんなスキルは持っていなかったはずだが?

どうやったか判らないが、俺の職業に魔王があることを知られてしまったようだ。

俺が不思議そうな顔をしていると気付いたのか、お姉さんが続ける。


「魂が魅かれるので、それで判るのです♡

一生の忠誠を誓います。

私の心も体もご主人様のものです♡」


 どうやら魔王軍のガチ配下が仲間になったようだ。

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