第237話 職業を得る2

 いよいよ俺の番になった。

ベルばらコンビの今までの傾向からすると、どうやら職業はギフトスキルに引き摺られるようだ。

だが、俺のギフトスキルだけはまずい。

嫌な予感しかしない。このままめられないだろうか?


「次は転校生くんだぞ」

「さあ、早く済ませて米を手に入れよう」


「あ」


 そう思った時にはバレー部女子に背中を押されていた。

俺はそのまま倒れ込むように聖遺物に右手をついた。

すると何色もの眩い光が発生した。

それはLEDのクリスマスイルミネーションのように光の色を替えながら点滅した。


「なんじゃこれは! 今まで見たことも無い現象ですぞ!」


 司祭(たぶん)が騒ぐ。

やはりこれはあり得ないやつか。

そして暫くして光が収まった。


「転校生くん、これは期待できるっしょ」

「拙者も気になるんだな」

「さあ、早くステータス確認を!」


 皆の期待が辛い。

どうせ変なやつに違いない。

さすがに皆の目の前に晒すのは憚られるため、こっそりステータスを自分モードで表示した。

いざとなったら、嘘を付き通そう。


職業:たまご召喚士


 あー、そうだよねー。普通そうなるよね。

ん? なんだ?


職業:錬金術師


 はぁ? 職業が変わった?


職業:ビーストテイマー


 なんだこれは? これがバグか?


職業:魔王


 ちょっと待て、今なんか変なのが出た。


職業:建築士


 ああ、流れちゃった。


職業:商人


 なんだこれ? いくつ出るんだよ?


職業:領主


『システムエラー、職業システムが壊れました』


 は?


『修復、修復』


 なんだか目の前に青い画面と砂時計が出て来たぞ。

これが文字化けの影響か。

やっぱりバグってるな。


『修復が完了しました』


 うん、待ってました。


『職業システムがバージョンアップしました。

あなたには第3職業までの所持が認められました。

これは限界突破Lv.2によるものです。

限界突破スキルのレベルが上がる毎に職業の追加所持が認められます』


 つまり、最初の1つに限界突破分が2つで第3職業までということね。

だけど、目の前に現れた職業は、少なくとも7つぐらいあったぞ。

どれが、俺の職業になるんだ?


『職業は「:」の後をタップすることで、リストより選択することが出来ます。

なおステータス表示の魔導具や鑑定スキルからは第1職業しか見ることが出来ません』


 つまり、隠したい職業は第2以降にすれば良いのか。

うーん、何を第1職業にするべきかな?


『なお、第1職業から第3まではステータスに与える影響は等分されます。

その他選ばれなかった職業も若干影響が残ります』


 なるほど、ならば、何が良いかな。

第1職業として見えても無難なのは、やはり「領主」かな。

第2職業が「たまご召喚士」で第3職業が「錬金術師」かな。

よし、これで行こう。

それにしても、リストにあったよ「魔王」、やっぱり見間違えじゃなかったか。


「えーと、領主だったわ」


「なーんだ。てっきりたまご召喚士だと思ったのに」


 いや、確かにそれもある。第2職業にしたわ。

今まで助けられたのは、たまご召喚スキルのおかげだしね。


「いやいや、フラグ建築士というのもあるぞ」


 まあ、俺にはトラブルが寄って来るきらいが確かにあるけどさ、それは言わない約束でしょ。

しかも建築に拘った時期があったせいか建築士もあるし。

これフラグの方じゃないよね?


「やめろよ、もう……」


「あはは、まあ無難な職業で良かったんじゃない?」

「これで名実ともに領主になったわけだしね」


 まあ、隠れ蓑には丁度良いかもしれない。

それにしても魔王か……。魔物を多く従えているから出て来たんだろうな。

もし、闇魔法を使いすぎて暗黒面に落ちたら、俺は魔王まっしぐらなんだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る