第211話 侯爵軍動く

 輜重隊から補給物資をたんまりいただいた。

これは1000人の軍隊が長期の軍事行動をするために必要とする物資だ。

行軍中に消費するにしても1か月はもつように準備されていたようだ。

それをほぼ全て手に入れて、捕虜の食料にまわした。

捕虜は200人、単純計算で5か月分の食料となる。


 保存のために時間停止倉庫を建てた。

錬金術大全がこんなに役立つなんて、なんで最初に買わなかったのか。

瞳美ちゃんには頭が上がらない。

何かまた本を購入しているようだが、こんなに役立つのだ。

お小遣い以外の購入枠をあげても良いだろう。


 時間停止倉庫は扉が閉まっていると中の時間が停止して長期保存が可能になるアイテムだ。

扉が開いている間は時間が流れるため、荷の出し入れで人が入っても大丈夫なのだ。

これで腐らせることなく食料を保存できるだろう。

さすがに1か月で消費すると想定された食料を5か月も放置したらヤバイからね。


 倉庫への搬入作業は捕虜の皆さんがやってくれている。

あれだけ殺してしまったが、捕虜の皆さんは殺したのは森の魔物だという認識で、俺たちはそんなに恨まれてなかった。

恨まれていたら自らが殺されるとわかっていても俺を殺そうとしていたかもしれない。

この待遇の良さで、捕虜からはむしろ侯爵に絡まれて同情されてしまった。

彼らも侯爵とジャスパーの命令に従わされただけの不幸な人たちなのだ。



 カドハチ商会手代のケールがカドハチ便と共にやって来た。

いまのところ侯爵軍の脅威が迫っていないため、食料を満載したカドハチ便が毎日3台やって来ている。


「御当主様、これを」


 ケールがカドハチからの手紙を手渡して来た。

そこに書いてあったのは……。


「侯爵軍に動きがあったか」


 ついに侯爵軍2千が動いたのだった。

侯爵軍の最高指揮官ロイド将軍は、この戦いを無意味と考えており、こちらが帰した第3軍副官のバージルからの情報も相まって、わざと進軍を遅らせてくれていた。

その間に王様からお達しが出て侯爵が諦めるというシナリオになっていた。


 ところが、王様からのお達しが想定より緩く、侯爵は進軍を諦めなかった。

むしろ痺れを切らしたバーリスモンド侯爵本人が侯爵軍の前に現れたとのことだった。

侯爵は自ら陣頭指揮に立つことを宣言し、ロイド将軍を解任した。

そして、有無を言わさず進軍を開始したということだった。


「もしかして、メインターゲットが前に出て来た?」


 バーリスモンド侯爵本人が居なくなれば、この戦い終わるんじゃないか?


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


お詫び

 遅くなりました。

3時までに更新と言っていたのに、大幅に越えてしまいました。

加えて短くてすみません。

原因は……ここには書いちゃいけないようなので割愛します。

近況ノートならばセーフかな?

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