第186話 護衛眷属を譲渡する
眷属卵では召喚出来ないラキのような特殊な眷属がいる。
新たに眷属に加えた虎の魔物やクワガタの魔物、
これも眷属卵のレベルによってたまご召喚出来るようになるのかと思っていたが、そうではないらしい。
トカゲ卵Lv.2で召喚したラキは、眷属卵Lv.2どころか眷属卵Lv.3でも召喚出来なかった。
まあ眷属は眷属卵レベルに関係ないと発覚しているから、それはそうなんだけど、次のレベルでは召喚出来るかもという期待が多少はあった。
おそらくレベル制限なのではなく、特殊個体を複数眷属化出来ないという縛りなのだろう。
GKは元々【分裂】スキルで増えるので、配下を増やしてGK軍団を設立しようとしたのだが、これも無理だった。
GKの【分裂】は契約主である俺の命令や指示で行えるものではなかったからだ。
どのような条件で分裂するのかすら謎であり、それを俺が命令したりコントロールすることは不可能だった。
さらにGKが分裂し複数居れば最強なのだが、配下はGKの代わりにはなり得なかった。
GKはただのジャイアントコックローチではなく、ジャイアントコックローチの王だったのだ。
王であるGKの下位互換、それがGKの配下だった。
GK配下の行動を俺が直接指示することも叶わず、GKに指示した内容をGKが配下に伝えて動くという感じになる。
GK直の配下からその下の配下へさらに下へと、その伝言ゲームのような情報伝達は、時として意図しない結果を生み出していた。
識別魔道具の問題など、まさにそれであり、あの極悪騎士隊の行動を阻めなかった原因にもなっていた。
カドハチの従業員が襲われていたところを、GK配下が監視していなかったのかという疑問があったのだが、まさに識別魔道具を持っていればスルーという指示が、その報告さえもスルーさせていたのだ。
まあ、敵を殲滅といった単純命令では
敵かどうかの識別には多少難があるんだけどね。
ゴブリン軍団も放棄放出された魔物になるので、俺が統率することは出来ない。
運用としては敵の中に放り込んで、勝手に暴れてもらうしかないのだ。
扱いを誤ると、丸々こちらに矛を向けかねないので注意が必要だ。
特定の場所へ遠征させて攻撃するということは出来ないが、籠城戦の壁外戦力としてはあてにできると思う。
そんな感じで戦力増強を計画しつつ、女子たちのも回復して来たことで、そろそろ護衛の眷属を譲渡することになった。
護衛は眷属譲渡で個々に眷属化してもらう。
結衣は水トカゲ2を眷属化しているが、水トカゲ2は放出してもらうことになる。
眷属譲渡で契約できる眷属は1体のみであり、新たに譲渡するためには、前の眷属との契約を解除する必要があるのだ。
これが水トカゲ2である意味助かった。
眷属から離れた魔物は、そのまま人と敵対する魔物と化すため、水トカゲは最弱クラスであったために、放出時の危険性も最低レベルだったのだ。
これがクモクモのような魔物だった場合、命の危険があった。
今回護衛として付ける魔物は放出するわけにはいかない戦闘力を持つ者が想定されていた。
そうなると、俺が勝手に魔物を決めるわけにはいかない。
虫系が無理な女子もいるだろう。
そこで女子たちの要望を訊くことになったのだ。
「私は、ヌイヌイたちと一緒に仕事をしてるから、
「最初は無理だったけど、一緒に仕事をしていて考えが変わったわ。
今では私もチクチクたちとは仲良しよ」
あっさり決まったのは裁縫女子とマドンナだった。
服飾係として共に働いて、蜘蛛に抵抗がなくなったということだろう。
ヌイヌイとチクチクを譲渡する。
「拙者も先日守ってくれたオリオリがいいでござる」
腐ーちゃんにもオリオリを譲渡する。
「さちも蜘蛛がいいなぁ。
あの縛り、ゾクゾクするぅ」
さちぽよは、
ゾクゾクなんて名前の蜘蛛はいないぞ。
え? 卵から孵してゾクゾクと命名したい?
なら眷属卵を用意しよう。
「僕は虫じゃなくてモフモフが良い。
騎獣のウルフ系なら戦えるはず」
紗希はウルフ系ね。
騎獣に出来るウルフ系は、放出魔物にいたな。
ああ、いた。シルバーウルフだ。
これを眷属卵で召喚して眷属化すれば譲渡可能だ。
眷属卵Lv.3で召喚出来るから孵るのに3日かかるな。
哺乳類?が卵から孵るのはどうかと思うけど、魔物だからしょうがない。
モン〇ターボールだと思えば良い。
「ウルフ系のシルバーウルフなら召喚出来るけど、孵化に3日かかるから少し待って」
「わかった、楽しみにしてる」
「私もワンちゃんが良いな」
瞳美ちゃん、シルバーウルフは犬じゃないぞ。
まあ、馴れれば犬みたいなものかもしれないが。
「シルバーウルフ追加ね。
他にもウルフ系が良い人?」
意外なことにウルフ系の人気はそこまでだった。
「ネコ科系は召喚できないのか?」
虎の魔物は特殊個体らしく眷属卵はNGだったんだよね。
纏対象だから渡すわけにはいかない。
放出魔物に何かネコ科系の魔物は居なかったかな?
ああ、いた。でもこれ護衛になるか?
「
「それで頼む!」
オスカルが食い気味で言ってくる。
まあ、精神的な癒しになるだろうし良いか。
コボルトなんかより戦闘力もありそうだしね。
「わかった。3日待ちね。
他に希望はある?」
「私は蜂が良い。
飛び回って、いち早く危険を知らせて欲しいからな」
やっと元気になりつつある
蜂ならハッチのジャイアントハニービーかキラービーだな。
ハッチは蜂蜜集めがメインの本来なら温厚な蜂だからどうかな。
索敵が出来て攻撃力があるからキラービーの方が良いか。
キラービーは眷属卵Lv.2か。
「なら索敵のできるキラービーで良いか?
召喚に2日かかるが」
「ああ、頼む」
あと残りは結衣か。
「水トカゲちゃんとは離れないといけないんだよね?」
「そうなるね」
「ラキちゃんくれる?」
「それは無理かな。
俺の戦力として纏の対象だと思ってるからね」
「ならば、ラキちゃんを貸してくれれば良いよ」
「しかし、俺がラキを使うと護衛が居なくなって、今回みたいに危なくなるかも……」
やはり、ここはラキを譲渡するべきか。
いや、そういや竜卵を召喚出来るようになったんだった。
ここは賭けで召喚してみるか?
「ラキじゃないけど、竜卵で竜を召喚してみる。
そこで良いのが出たら結衣にあげるよ」
「やった、ありがとう」
嫁の我儘だ。少しぐらい聞いてあげよう。
俺は竜卵Lv.1で竜の卵を3つ召喚した。
3つでMP300消費。
これはハズレを想定してのことだった。
ちなみに、レベルアップして竜卵Lv.2になるとレベルの2乗×100でMP400消費になる。
Lv.3だとMP900消費だ。
これは竜卵の消費MPが特別なため、【竜卵】サブスキルを手に入れた時にシステムメッセージが教えてくれた。
ここまで規格外だと、とんでもない竜種が出る気がする。
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