第137話 温泉拠点防衛戦2

お知らせ

 136話にて、表現がおかしな文章がありましたので、加筆修正しました。

どうやら寝ボケていたようです。(^^;

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 さちぽよの装備は立派なハーフプレートの下にプレートを取り付けたスカート姿という、所謂ドレスアーマーというやつだった。

それに顔の部分の抜けた兜を被って大剣を腰に下げている。

俺たちの中では一番の重武装重防御だろう。

俺と紗希は黒鋼の剣と革鎧、そしてカイトシールドだ。

バレー部女子とバスケ部女子は黒鋼の剣が数打ちの剣になっているだけの違いだ。

このカイトシールドで魔法を撃つ結衣、瞳美ちゃん、裁縫女子、腐ーちゃんを守るのだ。

彼女たちには、防御魔法のかかったローブと、魔法を強化しMP消費を抑える効果のある杖を装備してもらっている。


 さちぽよには悪いが、彼女だけ守り役が居ない。

そこは自分でなんとかしてもらいたい。

俺たちの中でさちぽよが一番高レベルなのだから、単独でも大丈夫だろう。

そして、マドンナは回復役としてお立ち台の上には上がらずに、下で待機してもらう。

誰かが負傷したら、マドンナの所まで後退し治療してもらうことになる。


 俺たちは5つのお立ち台に分散して、オーガが率いる魔物の群に対抗することになった。

群は東から来る。そちらに向かって俺たちは身構えていた。


ホーホー!


 ホーホーが合図を送って来た。

魔物が目の前まで到達したという合図だ。


「攻撃開始!」


 壁の後ろに隠れていた俺たちは、一斉に壁から顔を出すと、目に見える魔物に魔法を放ったり石を投げるなり攻撃を開始した。


 俺と結衣は火魔法、瞳美ちゃんは風魔法、裁縫女子が水魔法の攻撃魔法をゴブリンに向かって撃つ。

紗希とバレー部女子も石を投げながら火魔法を放ち追い打ちをかける。

バスケ部女子は石と風魔法だ。


 さちぽよは高レベルの火魔法によって広範囲のゴブリンを焼き殺している。

さちぽよ、拠点の景観が損なわれるから範囲攻撃魔法は自重って言ったよね?

時すでに遅く、焼け野原が出来ていた。


 腐ーちゃんも腐食魔法の範囲攻撃でゴブリンどもの下半身を腐食させていた。

壁の向こう側は全て敵なので容赦がない。

今までは俺たち味方を巻き込まないようにと、魔法の効果を下げて使ってくれていたようだ。


グオーーーー!


 雄たけびが上がると共に一斉に石が投げ込まれて来た。


「盾だ! 弾道を逸らすだけで良い!」


 俺たち盾持ち4人は盾を斜めに掲げて、飛んでくる石の軌道を逸らしてやる。

まともに受ける必要はない。

それにしても、俺たちを真似したのか、魔物も石を投げて来た。

数がいる相手からの投石は思った以上に危険だった。


 その間もチマチマと1匹ずつゴブリンを倒していく。

魔法1発、或いは石+魔法1発で倒せているが、1匹ずつ倒していくのは効率が悪かった。

だからこその範囲攻撃。さちぽよが正解だったということだ。


「さちぽよ、そのペースでMPは持つのか?」


「鎧の効果で回復してるんよ。

いざとなればMP回復薬もあるんだからね」


 どうやらさちぽよは魔法砲台として優秀なようだ。


「もう範囲攻撃で焼き尽くしちゃって」


「りょ」


 さちぽよの火魔法が炸裂し、ゴブリンどもが吹っ飛んで行った。

だが、大物が姿を現さない。

統率された群、そのリーダーが何を考えているかわからない。


 そんな俺たちの攻撃を搔い潜ったゴブリンが、壁に到達する直前で硬直した。

クモクモの罠に拘束されたのだ。

クモクモは見えない糸で罠を張っていたのだ。

そのゴブリンを運動部女子たちが竹やりで止めを刺す。

あのカーテンに使った竹を切って作ったものだ。

使い捨てで何本も用意している。


ブォーーー! ギャギャギャーーーー!!


 森の中から恐怖と混乱の声が上がる。

GKが姿を現してSAN値を削ったのだろう。


 俺たちが対処していない脇から壁を越えようとしていたゴブリンをカブトンの【刺突】と、ラキの【爪斬波】が襲う。


グオーーーー!


 またもや指令が出たのか、オークが一斉に突撃して来た。

オークは魔法1発で倒すのは難しい。

だからこそ、こちらの手数を上回る数での突撃だろう。

魔法1発で対処可能なのは、俺とさちぽよ、腐ーちゃんの3人しかいない。

このままでは壁を越えられる。


「ラキ、ブレス!」


 もう環境破壊などと言ってられなかった。

ラキのブレスがオークの群を撫でるように薙ぎ払われた。

バタバタと倒れるオークたち。


ホーホー!


 ホーホーの警告で気付いた時には遅かった。


ドーーーーーーン!


 その時、温泉の裏手から大きな破壊音が聞こえて来た。

どうやら別働体が裏手に回り込んでいたようだ。

なんてタイミングだ。しかも、ホーホーの監視の目を欺くとは侮れない。

何か隠密系の特殊スキルでも持っているのだろうか?

それにこの群の統率者は知恵も回る。


 正面戦力は腐ーちゃん、それにラキとクモクモがいれば抑えられるか。


「さちぽよ、裏手が突破された。

俺と一緒に迎撃に向かってくれ!」


「りょ」


「運動部3人組は、後方にも気を配って皆を守ってくれ。

腐ーちゃん、ラキにクモクモも皆を頼むぞ」


 俺とさちぽよは、カブトンが抑えている裏手の敵へと向かうことにした。

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