動機

深川夏眠

動機


 その人は湯飲み茶碗を置いて口を開いた。

「どうして小説なんか書くのかって? 自分の中に巣食うを外在化させて精神の健全性を保つためさ」

 当たり前のことを訊くなと言いたげな少し苛立った顔をして、包帯を巻いた指でテーブルを叩いていた。


                 【了】



           『掌編 -Short Short Stories-』収録

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動機 深川夏眠 @fukagawanatsumi

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